老舗が手掛ける“和菓子カフェ” -【tubara cafe(つばらカフェ)】京都の和菓子店「鶴屋吉信」の新業態
1803年創業の老舗和菓子店「鶴屋吉信」。京都で愛され続けるこの名店が、2019年4月に新業態【tubara cafe】をオープンしました。「本当のあんこのおいしさを知ってほしい」と、人気商品の『つばらつばら』をより親しみやすくアレンジ。老舗の銘菓を身近に感じることができる、おすすめのカフェです。
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茶室からカフェへ。「鶴屋吉信」の新業態【tubara cafe】
銘菓をより親しみやすくした、マスカルポーネあんの『つばらつばら』
祝い菓子『巣ごもり』を復刻。そこにこめられた願いとは
茶室からカフェへ。「鶴屋吉信」の新業態【tubara cafe】
1803(享保3)年から200年以上も続く、老舗の和菓子店【鶴屋吉信】。その名店が、京都本店のすぐ隣に新しくオープンしたのはなんとカフェ業態の【tubara cafe(つばらカフェ)】。
入って左手にあるテーブル席。絵本などもありゆっくり過ごせる
大きなガラスの引き戸を開けると、そこに広がるのは北欧のヴィンテージ家具を配した、ゆったりとくつろげる空間。大きな窓越しに庭を望める席も選ぶことができます。
元々ここは、【鶴屋吉信】の茶室があった場所。その建物をリノベ―トして、京町家の様式を残しつつカフェに仕上げたのだそう。手入れの行き届いた庭には、小路やつくばい、季節の花がしつらえられ、移りゆく四季が感じられます。
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こちらのしだれ桜は、京都の名匠、桜守の「佐野藤右衛門」が手がけたもの
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つくばいも佐野藤右衛門ゆかりのものだそうで、なにげなく配置してあるものでさえ老舗らしさを感じます
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そんな由緒ある老舗の和菓子店がカフェを開いたのは、7代目女将の「和菓子をもっと身近に感じてほしい」という思いからでした。
銘菓をより親しみやすくした、マスカルポーネあんの『つばらつばら』
鶴屋吉信の看板菓子『つばらつばら』270円(税込)。写真は2種類の『つばらつばら』にドリンクがついたセット1,080円(税込)。味は抹茶とラムレーズンをチョイス
こちらで味わえるのは、上品な甘さの粒あんをもっちりとした皮で包んだ【鶴屋吉信】の看板菓子『つばらつばら』を、より親しみやすくアレンジしたもの。工場直送の焼き皮に、コーヒーや紅茶と合うようにアレンジしたマスカルポーネあんを合わせています。生地はみずみずしく、唇にあたった瞬間の弾力に驚きます。
マスカルポーネあんは、備中白小豆や白えんどう豆を使った白あんとマスカルポーネを合わせたものがベース。味は柚子・抹茶・ラムレーズンの3種から選べ、これに季節限定の味が加わることもあります。
「職人が作る上質なあんをたくさんの人に味わってほしい。和菓子をもっと日常に取り入れたいんです」と語る、女将の稲田さん
「最近は、和菓子離れが進んでいるように感じます」と語るのは、7代目女将の稲田さん。「敷居が高いと敬遠されがちな和菓子を、広い世代に気軽に味わってもらえるようカフェメニューにアレンジしました。あんのおいしさや、和菓子に興味をもっていただければ嬉しいです」。
祝い菓子『巣ごもり』を復刻。そこにこめられた願いとは
今はもうつくられなくなってしまった、【鶴屋吉信】に伝わる婚礼の祝い菓子『巣ごもり』も、このカフェのために復刻。かごに盛られた2つのおまんじゅうに、上品でなめらかなこしあんが入っていて、ほおばるとやさしい甘さが口いっぱいに広がります。食べて心が丸くなるような、そんな素朴で豊かなおまんじゅうです。
この店だけで食べられる、【鶴屋吉信】の幻の祝い菓子『巣ごもり』
卵の形をしたこの『巣ごもり』は、鶴が巣にこもり、卵を大切に守る様子をお菓子にしたもの。幸せな結婚生活になりますようにという願いが込められています。
「和菓子に気持ちを込めるという伝統が、日本にはあります。こんなに素敵な思いが詰まったお菓子がなくなりつつあるのが寂しかったんです」と、稲田さん。
【tubara cafe】のあるエリアは、古くからの町家も残る、織物の街・西陣。インテリアも、お干菓子も「糸巻」の形をしています
看板メニューでもあり、店名にもなっている「つばらつばら」は、万葉集に記された、大伴旅人の歌
“浅茅原(あさぢはら)つばらつばらにもの思へば 故(ふ)りにし郷(さと)し思ほゆるかも”
から名付けられたもので、「しみじみと、心ゆくままに」という意味の言葉。このカフェでゆるりとお茶をしながら、お菓子に込められた思いを心ゆくまま感じてみてはいかがでしょうか。
【tubara cafe(つばらカフェ)】
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電話:075-411-0118
営業時間:10:30~17:30(L.O.17:00)
住所:京都府京都市上京区西船橋町340-5
アクセス:烏丸線「今出川」駅より徒歩10分、
京都駅から市バス9号系統「堀川今出川」下車すぐ
定休日:水曜
取材/田村のりこ
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