ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2019.07.22旅グルメ

【ル・セル(Le sel)】東京の星付きモダンフレンチ「クローニー」が京都で打ち出す、オーガニックなラーメン小会席

京都、八坂の塔のほど近くに今年の4月にオープンしたラーメン店【ル・セル オーガニック(Le sel ORGANIC)】が注目を集めています。なんとこの店、モダンフレンチで評価の高い東京・西麻布にある1つ星レストラン【クローニー(Crony)】がプロデュース、運営する斬新な小会席スタイルのラーメン店。しかもラーメンなのにビーガンにまで対応しているという、まさに新業態のラーメン店です。

東京の星付きレストランが手掛ける、
小会席スタイルでゆっくりと楽しむラーメン

2016年にオープンした東京・西麻布の【クローニー】。フレンチをベースに北欧やアメリカ西海岸のテイストを加えたイノベーティブな料理でミシュラン1つ星を獲得。そんな話題のレストランが京都の地でまったく新しいラーメン店をプロデュースしました。

    清水寺のほど近くにあり観光にも抜群のロケーション。町家づくりで趣があり、解放感のあるガラス壁で女性でも気軽に入ることができます

ラーメンといえば、15分ほどで食べ終え、すぐに店を出てしまうイメージですが、「せっかく京都で店を開くのだから、ゆったりと楽しんでもらえる店にしたい」と店主の田島光将さん。【エスキス】、【クローニー】などでフランス料理の研鑽を積んだ若き料理人です。【クローニー】が手掛ける店だけに、単なるラーメン店の枠には収まりません。

    幅1mほどもある広々としたカウンターで、ラーメン店というよりはレストランのよう。座席もゆったりとして居心地がよく、つい長居してしまいます

前菜から始まり、ラーメン、そしてデザートで終わるという小会席スタイルでラーメンを味わうという斬新なスタイル。店名の【ル・セル オーガニック】にあるように、つかう食材はオーガニックにとことんこだわり、ビーガンにまで対応したメニューも。世界中からくる様々な観光客にも目を向けた、京都ならではのすべての人が味わえる新ラーメンです。

オーガニックラーメンをメインにした、
2,500円のプリフィックス方式の小会席

    日本にまだ数台しかない英語にも対応しているタッチパネル式の券売機。ビーガンメニューもわかりやすく表示されています

店に入るとまず目に入るのが券売機。ラーメンをメインにした4品とデザートからなるプリフィックス方式で一人前2,500円(税込み)。前菜からはじまるメニューをタッチパネルの券売機で選んでいきます。レストランのような高級感もありながら、券売機というカジュアル感もおもしろい。

最初の前菜は『野菜のソテー』か『煮物』。2品目は『野菜のラビオリ』。3品目は京丹後のコシヒカリと宇治のほうじ茶で作られる『京茶飯』。そしてラーメンへと続きます。

  • 旬のブロッコリーをつかった『野菜のラビオリ』。水餃子を感じさせつつも、つぼみ部分は炒ったり、茎は薄くしたり、様々な食感で【クローニー】らしさも味あわせてくれます

  • 香ばしく爽やかな風味が鼻にぬける『京茶飯』。国内唯一のオーガニック卵をつかった味玉や卵黄の塩漬けと相まって深みのある味わい(ビーガンは味玉ではなく、蒸し野菜)

ラーメンの前にご飯?と一瞬目を疑いますが、その量が絶妙。ラーメンまでの3品が食欲を高めてくれます。ラーメン自体も麺の量が90gと少なめに設定されており、「麺も伸びず、熱々の内に最後まで味わってほしいから」という完璧な計算もされています。

    『美味しすぎるビーガンラーメン』。野菜だけで作られるスープにも関わらず、3種あるラーメンの中でいちばん濃厚な味わい

メインのラーメンは『98%鶏白湯ラーメン』、『魚のコンソメラーメン』、『美味しすぎるビーガンラーメン』の3種類から選ぶことができます。中でも唯一無二の存在が『美味しすぎるビーガンラーメン』。これが肉や魚類を一切つかわずに野菜だけで取ったもの?と驚いてしまうほどの旨みと濃厚さとキレを兼ね備えています。

スープにつかわれる野菜はキャベツを中心に、玉ねぎや長ネギ、大根、枝豆など。それらを香ばしく焼き付けてから豆乳などと合わせてミキサーにかけ、スープに。焦げを旨みにするフランス料理ならではのテクニックも、いかんなく発揮されています。

    コクがあり濃厚なとろみのあるスープ。ポタージュのようでありながらもキレがあり、ラーメンスープとして成立しているのに驚きます

麺は、オーストラリア産のオーガニック小麦をつかい、京都の製麺所【麺屋 棣鄂(ていがく)】に特注しているストレートの細麺。喉ごしのいい麺に濃厚スープが絡みつきます。ビーガン食というと、味に物足りなさを感じる人もいますが、この一杯はきっと満足するはず。一口目のパンチ力というのはそこまで感じなかったのですが、野菜の甘みと焦げからくる香りやコクで旨みが凝縮されており、ごくごくと最後までスープを飲み干してしまいました。

そして締めは季節のデザート、「河内晩柑のシャーベット」ですっきりと。小会席スタイルで提供されることで、「ふーおいしかった」だけで終わるラーメンに比べ、食後の満足感が格段に違います。食べ終わったあときちんと「御馳走様でした」と両手を合わす幸せがそこにはありました。

    (左)『98%鶏白湯ラーメン』、(右)『魚のコンソメラーメン』。どちらも旨みが凝縮されながらも洗練されてすっきりとした後口

他の2種のラーメンも侮れません。『98%鶏白湯ラーメン』はニュージーランドで平飼いされ、オーガニック食材で育てられた鶏を贅沢につかったもの。日本で唯一【ル・セル】だけが取り寄せているというこだわりの鶏で、骨が太く、旨みが他とはまったく異なると言います。

また、『魚のコンソメラーメン』は珍しいサワラの節を中心に、カタクチイワシやマグロなど5種類の節をブレンドした醤油ベース。ほのかな酸味とコク、すっきりとした爽やかな後口がたまりません。どのスープもごくごくと飲み干してしまうおいしさです。

つかう食材はもとより、飲み物に至るまで、
すべてオーガニックにこだわる

    日本酒、ビール、ジンジャエールまでもオーガニック。フリーの麦茶もオーガニックで栽培された麦で作ったもの

店名にオーガニックとつくように、おいしいだけでなく、体に優しく誰もが喜んで食べられるものをという思いから、オーガニック食材に徹底したこだわりを見せています。つかう食材から調味料に至るまで、認証があるものはすべて有機JASマークを取得したものを選び、提供する飲み物もすべてオーガニックなものを厳選。フリーの麦茶ですら、オーガニックにこだわっています。それをワイングラスで提供するところも【クローニー】らしさのひとつです。

    若干25歳で店主に抜擢された田島光将さん。フランス料理を学びながらも、いつかラーメン店を営みたいと思っていたという、ラーメン好きの若き料理人

この店を切り盛りするのは、フランスで修業し、その後【エスキス】、【クローニー】などの星付きレストランで研鑽を積んできた田島光将シェフ。ラーメン好きが高じて、まかないでもよくラーメンを作っていたことなどがきっかけで、オーナーである小澤一貴氏から声がかかったのだそう。ラーメン店で修業していないからこそ、学んできたフレンチの技法などを駆使したオリジナリティあふれるラーメンスタイルが生まれます。

世界中で認知されてきた日本食を代表するラーメン。国際都市京都において、“誰もが食べて喜んでもらえるラーメンを”との思いからビーガンラーメンも誕生しました。「塩」という意味の【ル・セル】。食材本来旨みを引き出し、すべての料理に欠かせない塩のように、来店されるすべてのゲストにとって欠かせない存在でありたいという思いがそこにはあります。

 

この記事を作った人

楠井祐介(フリーライター)

この記事に関連するエリア・タグ

人気のタグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(10/16~10/22)

エリアから探す