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更新日:2019.10.22食トレンド

Netflixオリジナルシリーズ『深夜食堂-Tokyo Stories Season2-』|小林薫インタビュー

2009年の初回より回を重ねる毎にファンを増やし、2度の映画化。2016年にはNetflixオリジナルシリーズ『深夜食堂—Tokyo Stories—』も配信。そしてこの秋、第5回目にあたる待望の新シーズンが全世界に向けて配信されます。10年間マスターを演じる小林薫さんに作品への思いや、相手の心を満たす差し入れの選び方などを伺いました。

小林薫深夜食堂

心もお腹も満たす【めしや】が世界中で愛される訳、心に響く手土産もご紹介

~Story~

小学館ビッグコミックオリジナルに連載を続ける安倍夜郎の作品が原作の『深夜食堂』。繁華街の裏路地、夜中だけ営業する食堂【めしや】を舞台に、訪れる客たちが繰り広げる人間模様を描くドラマです。

「できるものならなんでも作るよ」というマスターが営む【めしや】に思い出の味を求めて訪れる常連客や偶然の来訪者たち。それぞれの人生模様を思い出の1品に絡めて描く1話完結のストーリーは、どこか笑えて味わい深く、心温まるエピソードばかり。

登場する料理も、オープニングで毎回作られる豚汁を筆頭に、お茶漬け、卵焼き、ハムカツ、シチューなど身近に感じる料理揃い。今シーズンはどんな料理で心とお腹を満たしてくれるのでしょう。

Interview

「リアルで精密なセット、熟練の役者たち、しずる感たっぷりの料理…‥。見応え食べ応えたっぷりですよ(笑)」

──10年前にひっそりと始まった深夜ドラマでしたが、2度の映画化を経てのロングシリーズ。さらに、韓国や中国でリメイク版も作られ、Netflixでは世界190カ国以上に配信されるなど、人気は日本に留まらないようですね。

小林薫(以下、小林):1話30分弱で完結。1人の主人公で話が続くのではなく、毎回主人公が変わる、いろんな人生が見られるっているのがロングランの理由かな。海外の人にはどこがウケたんだろう、不思議に思っていたんですけど。この間中国のリメイク版公開のキャンペーンで上海に行ったとき、仕事のあとに役者さんが、「僕のお気に入りのお店にお連れします」って案内されたのが、路地裏の食堂……。まさに【めしや】みたいな店なんですよ(笑)。「いいもの食べさせてやる」みたいな上から目線じゃなく、気負わず行けてホッとできる店を求める心は万国共通なんだなと感じました。

──繁華街の裏路地の場末感もちょっと秘密めいていて、特別感がありますし。【めしや】って「行きつけ」の理想形なのかもしれませんね。渋くて、ちょっとお茶目な雰囲気、心根が優しいマスターがいて、心に中にある思い出の味を作ってくれる。常連さん同士が仲良しで、でも一見の客も温かく仲間に入れてくれる。

小林:そうですね。韓国や中国では、日本のように一人飯、一人飲みという習慣がほとんどなかったらしいんです。でも、時代が変わって日本の都市部と同じように、一人暮らしも増えて、一人ご飯のシチュエーションも増えてきたようです。そんな中で、人情味のある『深夜食堂』みたいな店なら一人でも寂しくないって思えたのがよかったのかな。

──シーズン1では、韓国ロケがありましたが、今回は?

小林:今回は、台湾の俳優・ジョセフ・チャンさんをスペシャルゲストに迎えた回がありますよ。

──【めしや】のセット、お店の前のストリートの雰囲気も味わい深くていいですよね。ものすごくリアルで、新宿の裏路地に本当に小林さんがやっているお店があるんじゃないかと思うくらいですね。

小林:そう、よく言われるんです。新宿ゴールデン街、という設定なんですけど、ほんとうにその一角に店を借りてロケをしているんじゃないかと。視聴者からの問い合わせもあるらしい。

──実際はどこにあるんですか?

小林:大きな倉庫を借りて美術スタッフさんたちが【めしや】がある「よもぎ町」を作り込むんです。10年前に美術監督の原田満生さんが作り上げた世界をずっと踏襲していますが、1シーズンの撮影が終わったら壊して、どこかに保管しておいて、新しいシーズンの撮影が始まる1ヶ月半くらい前からまた作って。今までに4シーズンと映画2回。だんだん規模が大きくなっているし、細かいところでちょっとずつ時代感も反映していたりするんですよ。

──コアなファンとしては、前のシーズンと見比べるのも楽しそうですね。Netflixならいつでも過去の作品も見ることができますし。

小林:オープニングに流れる新宿の街の風景も、シーズンごとに撮り直しているんです。前シリーズからはTOHOシネマズのゴジラも映っています。そして、新シーズンでは新宿ゴールデン街に外国人観光客が増えているという今の時代感を出すために、エキストラもずいぶん外国人を増やしたりして。『深夜食堂』は、1作目から映画レベルの精密さ、丁寧さ。ドラマの撮影じゃないんです。クレジットを見てもらうとわかりますが、監督の松岡錠司さんはじめ、美術も照明も映画の人、かつ熱心な人ばかり。何においても丁寧。手を抜いていない。役者も、舞台の人が多くて、結構勇気のいるキャスティングなんですよね。

──フードスタイリストの飯島奈美さんによるお料理も『深夜食堂』の大きな魅力ですね。作るシーン、食べるシーンなど「飯テロ」と評判になるほど臨場感たっぷりで。

小林:料理も飯島さんの目が細部まで行き届いています。温度はもちろん、匂いまで伝わってきそうでしょう? 僕は役柄的に出す立場だから、撮影の時は食べられないけど、ちょっととっておいてくれるんです。美味しそうに見えますが、実際に食べても本当に美味しいですよ。

──新シーズンはどんなお料理が登場しますか?

小林:ささみチーズカツ、チキンライス、焼きそばパン……。塩シャケをシンプルに焼いたのもあったなぁ。今回も日本人のソウルフード的なものが多いですね。

──小林さん自身はお料理はお得意なんですか?

小林:以前は、料理はほとんどできなかったけど、だんだん興味を持つようになってきました。新シリーズにささみチーズカツが登場しますが、飯島さんがこの撮影の時にササミソテーを作ってくれて、それがとても美味しくて家でも作ってみたいと飯島さんに作り方を聞いたんですよ。そうしたら、「梅酢を使うのよ」って、飯島さんがプロデュースした『紀州の、うめ酢』とレシピ本をくれたんです。このレシピ本、手間がかからずパパッと作れるものばかりで。豚肉とネギのソテーも美味しくできたなぁ。そんな話を撮影現場でしていると、いろんな人がコツを教えてくれたりして。つまみ程度のものだけど、ちょこちょこ自分で作るようになりました。

──外食もよくされるんですか? 行かれる時はどんなお店が多いですか?

小林:以前はほぼ外食でしたが、子どもが生まれてからは少なくなりました。妻も子どももいない日は、一人で行きつけに。だいたい和食系で、空いていれば必ずカウンターに座わります。【めしや】ほど大衆的な店や料理ではないけれど、なんとなく一人で行けて、店主はじめ店にいる人と顔なじみで心通じ合える店がいくつかあるんです。そこでお客さんと店主のやりとりを聞いたりするのも少し勉強になるかな。

テッパン! 差し入れ品

ハードな撮影現場で喜ばれる差し入れ。小林薫さんがお気に入りの“差し入れ”を教えていただきました。

【呼じろう】の「おいなりさん」

    『いなり寿司』竹皮8個 1,200円、長方形(小)一段2,400円(16個入り)、二段4,800円(32個入り)、長方形(大)一段3,900円(25個入り)、二段7,800円(50個入り)、正方形 一段4,800円(32個入り)、二段9,600円(64個入り)

    『いなり寿司』竹皮8個 1,200円、長方形(小)一段2,400円(16個入り)、二段4,800円(32個入り)、長方形(大)一段3,900円(25個入り)、二段7,800円(50個入り)、正方形 一段4,800円(32個入り)、二段9,600円(64個入り)

「スタジオへの差し入れは常にそこにいる人の顔やどんな撮影現場なのか、シチュエーションを思い浮かべて、何を持っていったら喜ばれるかって結構悩みながら決めるんです。『深夜食堂』の撮影だったら、白いご飯が必ず炊いてあるので、それに合うもの。美味しいキムチとか、コロッケとか。本当にその時々によってまちまちです。なるべく人とかぶらないものにしたいとも思っています」

「そんな中で比較的よく使うのが、【呼じろう】のおいなりさん。ここのは、俵型にした酢飯を熊本名産の南関揚げで巻き上げていて、見た目から個性的。小ぶりだから女性も食べやすいと思って。おいなりさんの差し入れは圧倒的に「おつな寿司」が多いので、ちょっと目先を変えて、というのが喜ばれるかなと。気持ちを伝えるにはやはり、それなりに悩まなきゃ、と思っています」

『深夜食堂-Tokyo Stories Season2-』詳細

出演:小林薫、不破万作、綾田俊樹、安藤玉恵、松重豊、余貴美子、オダギリジョー ほか
監督:松岡錠司、山下敦弘、小林聖太郎
脚本:真辺克彦、向井康介、小嶋健作、大島まり菜
フードスタイリスト:飯島奈美
ゲスト出演:仲村トオル、柄本明、柄本佑、勝地涼、永山絢斗 ほか
スペシャルゲスト:ジョセフ・チャン
エピソード:全10話
原作:安倍夜郎「深夜食堂」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載中)
Netflix:https://www.netflix.com/title/80113037 
配信:2019年10月31日(木)、Netflixにて全世界配信

『深夜食堂-Tokyo Stories Season2-』予告

この記事を作った人

撮影/三橋 優美子 取材・文/藤田実子(フリーライター)

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