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更新日:2020.01.17食トレンド

ニュースな新店/ミシュラン2ツ星シェフ、ドミニク・ブシェの京都の新店は鉄板焼き&フレンチ!【ドミニク・ブシェ キョート】

かつてパリの【トゥール・ダルジャン】、【ホテル・ド・クリヨン】の総料理長を歴任し、銀座でオープンしたレストランはミシュラン2ツ星を持つトップシェフ、ドミニク・ブシェ氏。その彼が2019年12月9日に日本国内で5店目となる新店を京都にオープンさせた。そこはなんと、一つのレストランで“フレンチ”と“鉄板焼き”の2つの顔を持つという新しいスタイル!フレンチの名シェフが展開する鉄板焼きとは?気になる新店を取材してきた。

ドミニクブシェ キョート

今春に創業130周年を迎えるホテルのメインダイニングで楽しめる、2つのレストラン

この京都の新店【ドミニク・ブシェ キョート】は、京都東山の地で数々の文化人にも愛されてきた格式ある【ウェスティン都ホテル京都】のメインダイニングとしてオープン。レストランの中にフレンチの【Le RESTAURANT】と鉄板焼き【Le Teppanyaki】そして、2500本のワインを揃えるワインセラーを備える。

【Le RESTAURANT】は、ベージュとグレーの上品なインテリアがドミニク・ブシェらしいモダン・エレガントな雰囲気。広い窓から東山の眺めを一望できる広々したスペースのテーブル席と8名の個室も2つ。一方の【Le Teppanyaki】は、すべて目の前のシェフのナイフさばきを楽しめるカウンター席の個室が4つ。ライブ感と親近感のある料理を楽しむことができる。

  • 食器はクリストフル、ステーキナイフはラギオール、ワイングラスは木村硝子と上質にこだわった

    食器はクリストフル、ステーキナイフはラギオール、ワイングラスは木村硝子と上質にこだわった

  • 【Le Teppanyaki 】という名前が示す通りのフランスのエスプリ感じる鉄板焼きは、モダンな空間で

    【Le Teppanyaki 】という名前が示す通りのフランスのエスプリ感じる鉄板焼きは、モダンな空間で

ワインは、価格レンジが1万円〜150万円と幅広く対応しており、9割がフランスのものだが残り1割は近年人気が出て来た熟成感のある日本のワインも置く。シャンパーニュが100種400本とバラエティに富むのも特徴で、鉄板焼きでもフレンチと同様にワインを堪能してもらおうという意図が伺える。

フレンチの巨匠が様々に仕掛ける鉄板焼きの冒険は、おいしく楽しい

フレンチの巨匠が提案する鉄板焼きとはどういうものか? まず、3通りのコースには、フレンチでお馴染みの香りがよいウイキョウのムースの前菜、そして近江牛や神戸牛などのブランド牛に並び、目を引いたのが『オマールブルーの殻ごとロティ アニス風味のビスクソース』。素材の味をそのままストレートに楽しむのが多い鉄板焼きだが、焼き上げた見事なオマール海老と濃厚なビスクソースが、香ばしさと相まって新しいニュアンスを生み出す。

    ビスクソースもオマール海老の殻を焼いて作るもの。旨みが鉄板焼きの香ばしさとマッチするわけだ

    ビスクソースもオマール海老の殻を焼いて作るもの。旨みが鉄板焼きの香ばしさとマッチするわけだ

また、『活け鮑と海藻バターのフリカッセ』でも、同じくフレンチのソースが実にいい仕事をして、鮑の鉄板焼きに新たな表情を生み出している。

実は、ドミニク・ブシェ氏は、日本の鉄板焼きが大好きで、来日の度に行っているほどなのだという。「伝統のある都ホテルのメインダイニングに」という話が来た時に、創業130周年に向けてのリニューアルという壮大な計画だということもあるが、いちばん心引かれたのは「鉄板焼きも一緒に監修してほしい」という点だったのだとか。

フレンチは守るべきことが多いが、鉄板焼きならいろいろ冒険ができるともうわくわくしたという。「日本人が好きな牛肉の鉄板焼きは自分も好きだが、鴨を焼いてみたらどうだろうかとかオマール海老はどうだろうかとか。また、食事に赤ワインを合わせるなら、最後にフレンチのようにチーズを出したらどうか」とアイデアが次々に湧いてきたそう。

    鮑にかかる海藻バターの磯の香りと濃厚さ。鉄板焼きとフレンチのマリアージュが見事

    鮑にかかる海藻バターの磯の香りと濃厚さ。鉄板焼きとフレンチのマリアージュが見事

〆にと考えた一品は、日本人が好きな麺を生かして、何かできないかと考えたブイヤベースラーメン! 確かに食事の最後は、ちょっとラーメンを食べたくなる、日本をよく知る氏ならではのアイデア。牛肉は、日本のブランド牛だけでなく赤味が好きな人のためにフランス産のシャロレー牛も用意するなど、仕込みにこだわりながら、従来にない新しい鉄板焼きというのが何とも楽しい。

守るべき伝統は守りつつ、個性のある記憶に残る料理を作る

一方のフレンチの【Le RESTAURANT】は、ドミニク・ブシェらしいエレガンスなフレンチを京野菜や近郊の新鮮な食材を用いて展開している。ランチ、ディナーとも「継承」「融合」「新時代」とコース内容がそこはかとなく表現されているコースが3種類。

たとえば、ディナーの「継承」に登場するのは、ドミニク・ブシェのシグニチャー「キャビアとウニを添えたオマールブルーのジュレ」。まったりとしたウニがのったオマール海老を囲むジュレにはキャビアをのせた24個のセロリで飾り、24時間の楽しみを表現している。

    食感、香り、味の素晴らしさに加え、盛りつけのエスプリが印象に残る

    食感、香り、味の素晴らしさに加え、盛りつけのエスプリが印象に残る

ランチの「融合」に入る『仔牛のア・ラ・キャセロール アンディーブのキャラメリゼ 季節のきのこ 』では、繊細に仕上げたキャセロールの仔牛にキャラメリゼの甘さがからみ、フランスの2大きのこセップ茸とジロール茸の食感の違いを楽しませる。

    2種類の季節のきのこの香りが立ち、キャラメリゼの甘味が肉の味を引き立てる

    2種類の季節のきのこの香りが立ち、キャラメリゼの甘味が肉の味を引き立てる

今、京都はホテルのオープンも数多く、その格にふさわしい味やサービスをできる人材を確保するのは容易ではない。そんな中、【ドミニク・ブシェ】ではオープンにあたっては、シェフ、ソムリエはじめサーブのスタッフも1年間、銀座のお店で研修をしてきているのは、すごいことである。

フレンチでは守るべきことを守り、鉄板焼きでは冒険を。「京都という場で、一皿一皿記憶に残る料理を作っていきたい」という気概を感じるレストランである。

    ドミニク・ブシェ氏を囲んで。一同に集まったスタッフたちの目も輝いている<br />

    ドミニク・ブシェ氏を囲んで。一同に集まったスタッフたちの目も輝いている

ドミニク・ブシェ キョート

住所:京都府京都市東山区粟田口華頂町1 ウェスティン都ホテル京都3F
電話:075-771-7158  受付時間10:00~18:00
営業時間:ランチ / 11:30~14:30(フレンチは土・日・祝日のみ)ディナー/ 17:00~21:00
定休日:なし

この記事を作った人

小野アムスデン道子

「ロンリープラネット日本語版」の編集を経てフリーランスへ。ポートランドと東京のデュアルライフを送りながら、旅や食についての取材に世界中を巡る。

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