TOPシェフが通う、オートクチュール感覚で希少部位が楽しめる焼肉店/【游來】福岡・西中洲
今回の行きつけを教えてくれたのは、「アジアのベストレストラン50」にもランクインし、ミシュラン一つ星に輝く【ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ】の福山剛さん。とにかくおいしいものが大好きだという福山シェフの行きつけを教えていただいた。第一弾は、福山さんのお店からも近い西中洲の焼肉店【游來】(ユキ)。こちらでは、稀少部位や好みの部位を楽しみ、そのとろけるようなその美味しさに酔いしれているのだとか。そのこだわり、サービスの真髄について取材した。
“一枚入魂”の思いを込め、ゲスト好みの部位を提供
狭い路地沿いに飲食店がずらりと並ぶ大人の街・西中洲。ここは飲食激戦地として名高い福岡でも、地元のフーディーたちが足繁く通う名店が多いディープなエリア。そんなこの街にあって、世界からゲストを集めている店が【ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ】。同店のシェフ、福山剛さんが、大好きな店だと教えてくれたのが、店から歩いてすぐの焼肉店、【游來】(ユキ)だ。
カウンターメインの店内。随所に日本料理を含めたアジアのエッセンスを感じる料理も登場。「焼肉」「韓国料理」というジャンルの枠に囚われない肉料理の可能性を追求するのが【游來】らしさ
オーナーの田村岳幸さんは福岡市・箱崎で一斉を風靡した焼肉店【田無羅】(現在は春吉に移転)の次男で、大阪の料亭【大和屋】で日本料理を修業した生粋の料理人。福岡に戻った後もさまざまな飲食店で研鑽を磨き、【田無羅】で肉料理の奥深さについて学んだ後、30歳で自店を構えた。
さっと炙っていただくタンは塩胡椒ベースのタレをつけ、野菜を巻いて食べていただく
メニューはアラカルトもあるが、基本はおまかせコース。まず、ゲストは肉の好みについてヒアリング。「もともとの好みやその日の気分によって食べたいお肉は違いますよね。“あっさりかこってりか”という以外にも、“厚いか薄いか”“好みの歯応え”“甘み”“濃厚さ”などもうかがい、お出しする肉を決めていくのがうちのスタイルです。とは言え、難しくお考えいただく必要はないんですよ。好みをざっくりと教えていただければ後は流れをこちらで考えてご提案いたします」と田村さん。
カウンターにロースターがはめ込まれ、肉はすべて「焼き師」であるスタッフが目の前で焼き上げてくれる。席は半個室2室を含め、18席
まずは一枚。焼き手がベストコンディションに焼き上げてくれるのでそれをいただき、最初の一枚を基準に好みを絞り込んでいける。一度訪れると、その日に食べた肉は“カルテ”として残され、次回来店した際「この間より少しあっさりと…」といった細やかなリクエストに対応してもらえる。「肉の好みは千差万別なので、何か基準があるとわかりやすいですよね。カルテは店とゲストが理解し合うために欠かせないもの。お寿司を一貫一貫楽しむように、お肉を味わっていただきたいですね」。好みを理解してもらいながら、ベストなお肉との出会いを愉しめるというのがこの店の醍醐味だ。
脂分多めの「ロースの芯」はオリジナルの香味だれでさっぱりといただく。肉はすべてオーダーが入ってからカットする
扱うのは信頼できるドメーヌ牛のみ。旨味の頂点を引き出す食べ方を提案
福山シェフが特に楽しみにしているのが稀少部位。「ハネシタ」「カイノミ」「トモサンカク」などのほか、メニューにない部位が登場することも。それを可能にしているのが、枝肉の自店での解体。筋肉別に細かく捌いていくため、それぞれの部位の違いが明確になり、繊細な味わいの違いが感じられる。提供しているのは主に鹿児島「新村畜産」の「新村牛」、佐賀「中村牧場」の「なかむら牛」といった生産者の顔がはっきりとわかる牛がメイン。田村さん曰く、ワインと同じように、その土地にこだわり、肥育方法を理解し、状態などをしっかりと見極めた生産者、つまり”ドメーヌ”があきらかな"ドメーヌ牛”の肉だけが、ゲストの口に入る。「時には肩ロースの肋骨、7本目をお願いします!という細かな注文の仕方をすることもあります」とのこと。
30分ほどボイルして、余分なところをすべて取り除いたテールを焼いた『和牛テールの塩焼』は店の定番メニュー。味付けはシンプルに塩胡椒のみ。口の中でほろほろとテールの繊維がほどけていく
また、一品料理も充実。シグネチャーメニューのひとつである『和牛テールの塩焼』のほか、『ケジャン』『ユッケ』『サムゲタン』などの韓国料理も充実。8,000円のコースでは、前菜・スープ・和牛テールの塩焼のほか、肉が7〜8種、ご飯や麺類などの食事メニュー、デザートが付く。肉に合わせるタレは部位に合わせたベース3種類をもとに、薬味などでアレンジ。時には牛たん×塩昆布といった組み合わせの妙で、嬉しい誤算を与えくれる。コースは肉の質がアップグレードされる1万円のものもあるが、どちらのコースも充実の内容でコストパフォーマンスは抜群だ。
前菜の『わら焼きのローストビーフ』は一番だしのジュレ、ズワイガニ、水前寺菜とともに。美しいピンク色のローストビーフはほんのりと香ばしく、繊細な出汁との相性抜群
僕が【游來】に通う理由

福山剛シェフ
田村さんとはもう20年来のお付き合いで、私の好みを熟知してもらえています。本当にうまい肉を選ぶ確かな目、奇を衒うことのない旨味の引き出し方が素晴らしく、行き飽きることがありません。特に楽しみなのが稀少部位。毎回、今日は何に出会えるのかとワクワクします。
游來(ゆき)
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住所:福岡市中央区西中洲5-6
電話:092-731-2968
営業時間:17:00〜24:00(予約電話は14:00〜22:00の間に)
定休日:日曜
今回行きつけを紹介してくれた福山剛シェフの店【ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ】詳細
この記事を作った人
撮影/中西ゆき乃 取材・文/中野智恵
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