更新日:2021.09.27食トレンド
〈行ってみた〉五感総動員で挑むベトナム料理【AnDi(アンディ)】外苑前
ヒトサラ編集部が、気になるお店に実際に行ってみるこちらの企画。今回うかがったのは外苑前駅や明治神宮前駅から徒歩圏内にある【AnDi(アンディ)】。ベトナム料理をコースで味わいながら、ソムリエによるペアリングも楽しめる貴重なお店。人にオススメされてからずっと恋焦がれていましたが、ようやく行くことができました。
待っていました食欲の秋! 月曜担当宿坊です。先日は中秋の名月を眺めながらお団子を食べました。スイーツコーナーにたくさんのモンブランが並び、スーパーで目にするシャインマスカットのきらめきに目を奪われる幸せな季節、今年も訪れましたね。
「絶対に好きなお店だと思うよ」と、会社の先輩に【AnDi】をオススメされてから少し日が経ってしまいました。ベトナム料理と言われて思い浮かぶのはフォーや生春巻き、最近だとバインミーも人気を集めていますね。そういったカジュアルなイメージのあるベトナム料理を、コースで楽しめるお店が【AnDi】なのです。ソムリエの方もいるので、ペアリングや料理に合わせたワインも堪能できるというので胸が躍ります。
ああ……ボタニカルな外観からもうタイプなのです……
カウンター席とテーブル席のある店内は、平日の17時にも関わらず半分くらいお客さんが埋まっていて、帰るころには満席に。予約が埋まっている日もちらほらとあり、その人気の高さがうかがえます。おひとりさまでも、恋人とのデートでも、友人とフラっとでも来たいなと思わせるお店の雰囲気がとても好きだなと感じました。
ディナーコースは8,800円。アラカルトでもOKなのです
コースは小さなバインミーからスタート。栃木県那須高原にある【SHŌPAIN】に特注している米粉ベースのパンを使用していて、中にはスパイスで煮込んだラム肉と塩漬けレモンソースが入っています。米粉ならではのもちっカリッとした食感のあとに、濃厚な味わいのラム肉と爽やかなレモンの風味。どこを切り取っても最高のバインミーです。
【AnDi】の看板メニューである『ティーリーフサラダ』
【AnDi】がオープンした当初から出しているという『ティーリーフサラダ』。真ん中には乳酸発酵した福岡県の八女茶(やめちゃ)の煎茶。中央上から時計回りに甘納豆、メロン、スモモ、トマト、キュウリ、焼きココナッツ、オニオンフライ、桜エビ、ゴマと並びます。ドレッシングは北海道のメロンとジャスミンティを加えているそうです。すべて混ぜていただくのですが、食感と味が重なり合っていて複雑に感じられながらも、計算されたおいしさに驚きます。甘い、しょっぱい、香ばしい。カリ、シャキ、ポリ。そんなすべてが楽しいのです。
『生春巻き』はインパクトが残るように考え抜かれているのだそう
「ゴーヤチャンプルのような生春巻きです」と言われてすぐ頭にハテナが浮かびますが、食べて納得の一品。ゴーヤのピクルスと、沖縄のあぐー豚のソテー、炒り玉子、パイナップルが入っています。ソースはパイナップルを焦がしてピューレにしたものに沖縄のコショウ「ヒバーチ」を加えて仕上げたソース。肉肉しいあぐー豚の味わいと、優しく甘いパイナップルの甘じょっぱさ。そこに香ばしいソースの刺激で沖縄独特の異国感をそのまま味わえる楽しさに、つい口角が上がります。
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ベトナムの水餃子『バインハーカオ』
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今夏一番人気だったという『稚鮎のフリット』
この『バインハーカオ』がすごいのです。車海老のすり身、枝豆、セロリのピクルスなんかが入った水餃子にかかっている透明のスープは、トマトのエキスにレモングラスでアクセントを加えたもの。まるでアロマを食べているかの如くふくよかなレモングラスの香りと、透明なのにトマトの味がしっかりと感じられる不思議で。食べ進めるうちに味覚と視覚が混乱していきます。
『稚鮎のフリット』は夏のスペシャリテ。丸ごと揚げているので稚鮎の贅沢な苦味を感じつつも、タマリンドの酸味で中和されます。運ばれてきたときから鼻腔を満たしている、チョコレートのような香ばしい香りはベトナムコーヒーで、黒糖も加えているのでこっくりとした甘味も楽しめます。サマートリュフの香りは華やかで、この料理の印象を一段階明るくしています。
ここでお願いしたワインは『98WINEs 芒 Nogi White 2019』
ソムリエさんがオススメしてくれた日本ワインは、山梨県甲州市「98WINEs」のもの。ブドウの品種は甲州で、柔らかい雰囲気とすっきりとした口当たりが特徴です。とても飲みやすく、まろやかな口当たりとミネラル感のある味わいに、ついつい進んでしまいます。
三重県の熊野地鶏のむね肉を使用した今回のメイン
こちらはむっちりとした鶏肉の弾力と、皮目を炭火で焼いているその香ばしさに幸福度があがります。またソースが面白く、白いソースはジャスミンライスを貝のだしやハーブで炊いて伸ばしたもので、コクの強い甘みと芳醇な香りが唯一無二でした。透明のソースはシェフの自家製ハラペーニョを発酵させたソースで、辛味が気にならずに酸味と旨みが押し寄せます。とろっとしたテクスチャーもとても心地良く、アクセントの青りんごもいい仕事をしています。
待ちに待ったフォーがこちら。透き通ったスープと上質な脂がきらめく……
最後は鶏ガラのスープのフォーで〆。そのままの味わいを楽しんだあとは、別皿のハーブや、地鶏に柚子胡椒を加えたつくね、ココナッツミルクの燻製に浸かった半熟卵を加えて味変も楽しめます。〆にふさわしいちょっと濃いめの味付けが病みつきで、ゴクゴク飲んでしまいたい……。ハーブのシャキシャキ食感や半熟卵でとろりとさせたり、最後までずっとおいしいこのフォーが今でも忘れられないのです。
デザートとハーブティーまでいただいて、お腹も心も満たされました
普段はエスニック料理をあまり食べないので、今回このベトナム料理のコースをおいしく楽しめるか少し心配しながら足を踏み入れましたが、そこは想像もしなかったワンダーランド。味覚も食感も毎皿変わり、その目まぐるしさがずっと楽しく、それでいておいしく、これが本当のエンターテインメントだ! と豪語したくなりました。誰かに教えたいお店を見つけたときって、本当に嬉しい気持ちになるものですね。先輩もこんな気持ちで【AnDi】を後にしたのかなと、想像する夜でした。
ヒトサラ編集部・宿坊 アカリ
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