〈行ってみた〉25貫になった初夏の【はっこく】へ|東京・銀座
言わずとしれた鮨店の激戦区、東京・銀座。なかでも圧倒的な存在感を誇り、凛とした江戸前の姿勢を崩さない、エントランスに足を踏みいれた瞬間から背筋が伸びるそのお店。大将・佐藤博之さんのカウンターで、25貫になったいまの【はっこく】を味わってきました。
夏は、長ければ長いほど得した気分になります。夏野菜の鮮やかさ、空と雲のコントラスト、色が最も輝く季節ですね。
2018年、【はっこく】が銀座の地に誕生した際の衝撃は、とても大きいものでした。それから約4年が経ってもなお、究極のマグロと独自の赤酢のシャリを求め、客足の途絶えない鮨店です。ゲストの要望に応えながら、25貫と野菜のおつまみを出すスタイルに変化し、日々向上し続けるいまの【はっこく】をご紹介します。
この凛とした佇まい。足を踏み入れる前に背筋が伸びます
怒涛の25貫を一挙にご紹介
『突先』。【はっこく】の代名詞といっても過言ではない一品
『みそとオリーブのバーニャカウダ』。野菜をシンプルに味わう、贅沢な時間
『鮎魚女』。「あいなめ」と読みます。力強い食感がたまりません
『春子鯛』。稚鯛のことで、「かすごだい」と読みます。丁寧な包丁さばきが素晴らしく、口のなかでほどけます
『平貝』。ほろりと口の中でとろけていく妙を味わいます
『青柳』。独特の味わいに魅了されます
『鳥貝』。こりこりとした食感のあとにふんわりとしたテクスチャーを感じるのが不思議です
『鱧』。焼き霜造りでいただきます。皮の焼き目が香ばしく、抜群の旨みです
『桜鱒』は酢で締められていてさっぱりした味わいでありながら、ゆっくりとろけていくのも幸せ
『鰯』。梅肉、にんにく、大葉で握っていただきました。イワシのおいしさを存分に引き出しています
『蛍烏賊』はたたいて、なめろうのように。ホタルイカの味わいだけを五感で楽しむ経験も、なかなかできません
『煮蛤』。見た目から美しく、丁寧な仕事を舌で感じることができます
『鰹』。ネギとショウガでさっぱりといただきます
『鰆西京漬』。表面をあぶっていただきます。驚くほど柔らかく、サワラの概念が変わる逸品です
『ヤングコーンと万願寺とうがらしの焼き野菜』。信じられないほど野菜が甘く、とうもろこしのひげまでおいしくいただきました
『えぼ鯛昆布〆』。ぶりっとした食感と昆布の香りと旨み、至高です
『鯵』。ぷりぷりな身と口当たりのなめらかさが、他とは一線を画します
『墨烏賊』。流線形が美しく、食べる前に一息ついて見惚れてしまうほどです
ここから『鮪』3連続です。【はっこく】の赤酢のシャリとの相性が最も素晴らしいと感じました
言わずもがな絶品のトロ。この味をたくさんの人が愛しているのだろうと実感します
漬けは個人的に最も感銘を受けました。一切の抵抗なく口の中でほどけます
『小肌』。江戸前の真骨頂を体感します
『車海老』。車海老本来の甘みが沁みる忘れられない一貫でした
シャキシャキのピーマンで箸休め。昆布の塩気が絶妙です。これだけ食べても、後に残されたおいしさを楽しみにしてしまいます
『金目鯛柚庵漬』。柚子が上品に香り、ふっくらとした金目鯛を引き立たせます
『雲丹』。キンと冷えたバフンウニは口溶けなめらかで、その贅沢な余韻に浸ります
ふわふわの『穴子』。終わらないでほしいと願わずにいられません
最後『玉』。優しい甘みと香ばしさ。さながらデザートのようです
人生初めての、怒涛の25貫。それは驚くほどあっという間でした。目の前のお客さんをよく見て、シャリの量を調節しながら握っていただけたことに頭が下がります。素材を最もおいしい状態に仕上げたお鮨を、一貫一貫大切にいただく経験は、間違いなく私の人生を一段豊かなものに変えた、そう強く感じる初夏の晩でした。
ヒトサラ編集部・宿坊 アカリ
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