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2016.11.30グルメラボ

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食へのこだわりが勝敗を分ける? 将棋のプロの棋士の対局中の食事

朝から深夜まで頭をフル回転させる将棋の棋士にとって、対局中の食事は勝敗にかかわる重要な要素です。棋士の中には、対局中の食事に特別なこだわりを持つ人も少なくありません。そんなプロ棋士の対局中の食事についてご紹介します。

脳がカロリーを求める? 対局中の棋士は健啖家が多い

 将棋の棋士といえば、普段特別に運動する訳でもなく対局の日は一日中座っている職業ですが、殆どの方が対局中はたっぷりと食事と間食を取る習慣があります。それでいて、どちらかと言うとスリムなタイプの方が多い(中には恰幅の良い方もいらっしゃいますが)のは何故でしょう? 
 
 棋士のように一日中フルに脳みそを使えば、運動していなくても激しくカロリーを消費するのです。プロ棋士が朝の10時頃から深夜12時頃までの対局を終えると、体重が数キロ落ちるとも言われています。

注目度の高いタイトル戦の食事は、料理人の腕の見せ所

 将棋の棋戦にも様々なものがありますが、中でも権威あるタイトル戦となると、海外を含む各地の一流ホテルや老舗旅館等を舞台に行われます。持ち時間も非常に長く、2日間に渡って戦われるタイトル戦もあります。食事は朝食、昼食、夕食と、それぞれの間の時間におやつも出されます。殆どの棋士はそれらを全て平らげますし、更に追加で食べ物を注文する棋士も珍しくありません。
 
 旅館やホテルにとって、注目度の高いタイトル戦の会場になるのは大変な名誉です。タイトル戦の記事の中でも、対局者の食事やおやつのメニューは実は非常に関心度の高いコンテンツで、ネットや将棋雑誌等で写真つきで丁寧に紹介されますから、会場にとってもいわば「晴れ舞台」。対局中の食事には、その地方の特産物を中心にシェフや板前さんが腕によりをかけた自慢のメニューを提供します。

昼夜うな重。おやつに板チョコもりもり。食にこだわる名物棋士

 最近テレビのバラエティー番組にも出演して人気の高い加藤一二三(ひふみ)九段は、現役最年長の76歳になった現在でも、史上最年少でプロになった頃と変わらぬ旺盛な食欲の持ち主です。
 
 対局中の食事にも独特のこだわりを見せ、昼食と夕食はいつも必ず同じものを注文、しかも一度決めたメニューは中々変えず、7年も昼夜天ぷら定食ばかり食べたかと思えば、今度は10年以上昼夜うな重ばかりと言った具合です。また、対局中に持参した板チョコを何枚も食べる事でも有名で、その勢いには孫のような年齢の若手も圧倒されてしまうほどだとか。対局中は、脳が糖分を欲するのかもしれませんね。

 その他、十八世永世名人の資格を持つ森内俊之九段は、大きな対局では必ずカレーを注文する事で知られています。また、誰もが認める棋界の第一人者羽生善治三冠は、ある年の名人戦で昼食に「天ざる蕎麦の天ぷら抜き」を注文した事があるそうです。周囲はあっけに取られたそうですが、そこには天才ならではの哲学的な意味があったのかも知れません。

この記事を作った人

斎藤 健(フリーライター)