峯田和伸・橋本マナミインタビュー|映画『越年 Lovers』~二人の行きつけのお店もご紹介~
岡本かの子の小説を、日本、台湾、マレーシアの3つの街を舞台に映画化した『越年 Lovers』(2021年1月15日 全国公開)。その日本パートの主人公を演じた峯田和伸さんと、幼馴染で初恋相手役を演じた橋本マナミさんに、作品の裏話や、お二人の初恋エピソード、行きつけのお店などを伺いました。
~Story~
小説家であり、芸術家・岡本太郎の母親でもある岡本かの子の小説を、日本の「山形」、台湾の「台北」、マレーシアの「クアラルンプール」を舞台に映画化。それぞれの街の年越しの季節に紡がれる、3つの恋の物語を描く。観るとどこか懐かしい気持ちになる、大切な人を思い出せる温かい映画。
©2020映画「越年」パートナーズ
日本パートの主人公・寛一を演じた、歌手であり俳優としても活躍する峯田和伸さんと、寛一の幼馴染で初恋相手役・碧を演じた、バラエティー番組でも人気の女優・橋本マナミさんにインタビューしました。
Interview
山形だからこそできた、自然体の演技
──お二人のご出身地である山形県が舞台でしたが、演じてみてどうでしたか?
地方から東京に出てきている人って、普段“東京に住んでいる”というのを自分で装って、どこか肩に力が入っている気がするんです。なので山形での撮影は力を抜いてできたというか、懐かしい“におい”に囲まれて、「あぁ、これこれ!」という自然体で演じることができたと思います。
私もとてもリラックスできて、楽しく、マイペースで演じることができました。
山形で撮影するのは初めてだったので、今までのお芝居のどれとも違う雰囲気で演じることができましたね。
©2020映画「越年」パートナーズ
映画に出てくる樹氷も小さい頃からよく見ていた光景だし、玉こんにゃくも、まさに食べて育ってきたもので。碧と寛一がお互いの「玉こんにゃく」と「いがもち」をあげるシーンはすごく好きです。
──玉こんにゃくのシーンは、寛一と碧のお互い「好き」という気持ちが、セリフ無しの表情や動きで描かれる静かなシーンですよね。
ああいうシーンって、10回撮ったら10回違う動きになるというか。また同じ感じで動いてって言われてもできないんですよね。それを自然に演じられたのがすごくよかった。山形だったから、できたんだと思います。
──作中の時間はゆっくりと流れていき、その中でのお二人の自然な雰囲気が印象的でしたね。
監督は台湾人の方で、僕らのやりたいことを尊重してくれる人でした。「こういう時、普通だったらこうするんじゃないですかね?」って伝えると、「じゃあその感じでお願いします」と言ってくれて。こっちの提案を「いいですね」って面白がってくれる監督でしたね。
ティッシュのシーン(ご飯を食べながら、寒くて鼻水が出そうになっている寛一に、碧が無言でティッシュを渡すシーン)も、峯田さんがこうしたいって言って撮ったシーンですよね!
ああいうシーンは橋本さんがすごく“許してくれた”からできたんです。僕が自然に演じられるような空間をつくってくれて。そうじゃなかったら、ビビっちゃって動けなかったと思います(笑)。本当に。
そんなことないでしょ(笑)。
でも、峯田さんが自然体だからこそ、私もリラックスして演じられました。
──寛一と碧の、お互い好きだけどうまく言えない、という「不器用な恋愛」が描かれていますが、お二人はどのように役にのぞまれましたか?
碧は純愛なんですよね。会えない十数年の間、寛一のことが好きな気持ちを殺して太郎という共通の幼馴染みと付き合ったり。でもその間もずっと寛一のことが好きなんです。普通なら太郎と結婚していてもいいぐらいなのにって思いました(笑)。
確かに!(笑)
そこまで長く人を思ったことがないので、その純粋な気持ちを表現するのは最初は難しかったです。
でも、気づかないようにしていたけど、会ってしまったからこそあふれ出しちゃう気持ちというのをそのまま演じてみたら、役作りはそんなに難しくなかったですね。
僕は寛一と設定が近いというか。地元の山形から逃げるように東京に出て何年も暮らしていて、しばらく帰っていないというのが自分とちょっと近い。僕は年に一回ぐらいは帰りますけど。
寛一も碧のことは思い続けていたでしょうね。でも、そういう気持ちにフタをして、どこかで決着がついていないまま東京でなんとなく仕事をして……。
©2020映画「越年」パートナーズ
僕、高校まで山形にいたんですけど、山形では誰かと付き合ったりとかなかったんで。何にもなかったんです。
でも、好きな人はいました?
いました。でもしゃべったりとかはなくて、一方的に見てるだけでしたけど。ちゃんと恋愛したのは東京に出てきてからですね。だからたまに帰っても会う女性がいないんですよ、誰も(笑)
でも私も似てますよ! 高校の頃、付き合ってる人はいましたけど、すごい内気だったからデートも無言で、電話しても無言で……自然消滅したんです(笑)。ちゃんと恋愛したのは東京出てきてからですね。
なので、そういう不器用だった頃の自分と気持ちが通じるものがありました。
そうそう、かつての自分というかね!
©2020映画「越年」パートナーズ
──現場の雰囲気はどうでしたか?
地元の方々がケータリングで山形料理を出してくれて。それを食べて、ほっとしたし、頑張ろうって気持ちにもなりました。
これ食え、っていっぱい持ってきてくれるんで。お腹いっぱいなのに(笑)。
──暖かい現場だったんですね! 印象に残っている料理はありますか?
樹氷のシーンを撮った蔵王の名物「からから汁」ですね。見た目は豚汁っぽいんですけど、酒かすが入っていて甘辛いんです。
「からから汁」おいしかったですね! 寒いからこそさらにおいしかった。
あと、地元のお母さんたちの団体で「ばあちゃんずくらぶ」っていう方々がいらっしゃって(笑)。そのおばちゃんたちが作ってくれた漬物や芋煮もおいしかったです。
うまかったな~。普段、本当にインスタントのものばっかり食べてるんで。「うわっ! これうんまーい」って感じでいっぱい食べちゃいましたね。
──是非食べてみたいです! 最後に、東京でおいしい山形料理が食べられるお店があれば、教えてください。
峯田和伸さん「行きつけのお店」
【山形料理と地酒 まら】高円寺
【山形料理と地酒 まら】の『ひっぱりうどん』1,200円(2人前)。麺の種類は変わることがある。撮影時は山形の「黒米うどん」
友達がやっている高円寺のお店です。お酒も食べ物も山形のもので、めちゃくちゃうまいです。
オススメは『ひっぱりうどん』。鍋でうどんが出てくるんですが、つけ麺スタイルで、出汁醤油に納豆とさば缶が入っています。そのつけダレにうどんを“ひっぱって”からめて食べるので『ひっぱりうどん』っていいます。
橋本マナミさん「行きつけのお店」
【山形田】銀座
【山形田】の『蔵王冷やし地鶏そば(肉そば)』960円
銀座にある山形料理のお店です。私は山形蕎麦の『肉そば』が好きで、東京でも食べたくて何軒も探したのですが、どのお店も東京の味に少しアレンジしていて。でも、【山形田】さんは地元の味そのままで出していて、芋煮や漬物も、山形の味。
ちなみに『肉そば』というのは冷たい鶏そばで、山形人が『そば』というと、この『肉そば』のことを言うんです。
『越年 Lovers』
公開:1月15日(金)新宿バルト9 ほか全国公開
出演:峯田和伸、橋本マナミ、ヤオ・アイニン(ピピ)、オスカー・チュウ(邱志宇)、ユー・ペイチェン(余佩真)、ウー・ホンシュウ(呉宏修)、菜 葉 菜、吉村和彬、岡野一平、結城貴史
原作:岡本かの子「越年 岡本かの子恋愛小説集」(角川文庫)/「老妓抄」(新潮文庫)
監督・脚本:グオ・チェンディ(郭珍弟)
プロデューサー:片原朋子、吉村和文、饒紫娟、陳世庸
撮影監督:周以文/美術:陳炫劭、遠藤雄一郎/VFX:嚴振欽/照明:譚凱富/衣裳指導:黃中觀、宮本まさ江
サウンドデザイン:羅頌策/編集:陳博文/音楽:トマ・フォゲンヌ/助監督:吳怡靜、大野伸介
製作:ジェイアンドケイ・エンタテインメント、ダイバーシティメディア、花千樹電影有限公司、現代電影沖印股份有限公司、台北市電影委員會、㈶台北市文化基金會、臺北市文化局、臺北市政府
協力:彰化縣、山形県、山形フィルムコミッション
配給・宣伝:ギグリーボックス/後援:台北駐日経済文化代表処
2020年/台湾・日本/116分/中国語 日本語/シネマスコープ etsunen.com ©2020映画「越年」パートナーズ
撮影/三橋 優美子 取材・文/関口 潤(ヒトサラ編集部)
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