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更新日:2018.02.27食トレンド

夢の旅へ誘うディスカバリーな食体験「What is ART? EAT? SO MEET?」from.Reborn-Art Festival

ショコラと音楽と映像と料理の共演。一夜限りのポップアップダイニングが渋谷区代々木の【code kurkku】で開催されました。満員御礼そして大反響で幕を閉じた、音楽と映像と食が奏でる夢の旅「What is ART? EAT? SO MEET?」の全貌を公開します。

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【L’Effervescence(レフェルヴェソンス)】のエグゼクティブシェフ、生江 史伸氏。

【パティシエ エス コヤマ】のオーナーシェフ、小山 進氏。

そして、Reborn-Art Festivalの主催者である音楽プロデューサー、小林 武史氏。

 彼らの職業はシェフ、ショコラティエ、音楽プロデューサーと異なり、一見交わりがないように思えるが、世に新しいものを生み出すクリエイターという共通点がある。そんな3人が、各々の視点からクリエイトするポップアップレストラン「What is ART? EAT? SO MEET?」を開催した。

    左から、【パティシエ エス コヤマ】 オーナーパティシエの小山 進氏、【レフェルヴェソンス】エグセクティブシェフの生江 史伸氏、【Reborn-Art Festival】実行委員長 / 音楽プロデューサーの小林 武史氏

 ただおいしいものをいただくだけではなく、“違う世界に旅に来たかのような感覚”を楽しめるのがこのイベントならではの面白いところ。「What is ART? EAT? SO MEET?」のテーマに相応しく、食とアートを通して新たな世界を体感をする。

 コースは、小山氏の最新作チョコレート全4章が、1章ごとに生江シェフの料理にバトンされる。「1章ごとに」というのは、簡潔に言うとそのチョコレートに合う料理が提供されるということだ。その際にチョコレートは一粒を半分に切って、半分のみを食べ進める。それは、1粒の同じチョコレートでも、料理としてデザートとして、2つの体験を楽しむためだ。詳しくは最後に記す。
 そして、そこに小林氏によるピアノの生演奏と映像がコラボレーションしていく。3人の能力が掛け算されたその空間は、レストランの枠を超えたアートな世界をつくりだす。

    小山 進氏の最新作チョコレート「SUSUMU KOYAMA’S CHOCOLOGY 2017〜DISCOVERY〜」。メニュー表には3人のサインが添えられている

1.FUYUからHARU

 やさしさと儚さが滲む、ゆったりとした曲調の生演奏の中提供された1品目は、ぶりを使った料理だ。雪に見立てた大根おろしの上には色鮮やかな金柑。その見た目と芳醇な金柑の香りは冬の終わりを感じさせる。合わせるショコラは、ふきのとうの苦みとイチゴのフレッシュさを活かした大人の味わい。色で例えるなら緑から赤に変化していくようだ。3人それぞれが自らのスタイルで、これから春に向かっていく季節を表現していた。

  • 寒鰤、大根、金柑と白みそのヴィネグレット

  • 第1章『HARU~苺&ふきのとう~』

2.山の神、海の神

 2品目に登場したのは、自然の恵みを慈しむ新感覚の茶碗蒸し。竹炭を使用した黒い衣がサクッと口の中でほどけると、中からはトロリと白子が溢れだす。ポルチーニ茸の香りがふわりと広がり、まさに山と海を同時に感じられる逸品だ。これに合わせる第2章のチョコレートは、クロモジを使ったもの。日本人の食に対する美意識が表現されているような気品高い香りが鼻に抜ける。ふと耳を傾ければ、そのクロモジを採取する森の中にいるかのような気分になる、爽やかで軽やかな曲調の生演奏が繰り広げられている。

「夢の旅に誘います」という小林氏の言葉の通り、明らかにレストランの枠を超えた何か別の空間をそこに感じた。

  • 白子とポルチーニの茶碗蒸し

  • 第二章『神の木~クロモジ~』

3.SHIGEKI

「味覚は印象に残りずらい。だが、その中でも“刺激”は比較的印象に残りやすい味覚だ」と生江シェフ。そんな話の中提供されたのは、一見優しい風味を想像させるトマトクリームパスタ。食べてみると、最後に残るのは山椒のピリッとした刺激だった。そして、サクッとした食感のあとにゆずの香りが広がるショコラも一転、唐辛子のピリッとした辛さが攻めてくる。さきほどの演奏とはうって変わって、激しい曲調の生演奏が、さらに辛さを増進させる。SHIGEKIはたしかに、印象深い。

  • 牡丹海老と芽キャベツの軽いトマトクリームパスタ、山椒の刺激

  • 第3章『YUZU~エスペレットピーマンの刺激と共に~』

4.日本のテロワール

 4品目は、日本、フレンチ、イタリアの要素が組み込まれた「オッソ・ブーコ」。仔牛の骨付きスネ肉をトマトや白ワインなどで煮込んだもので、サフランのリゾットと一緒に食べるのがポピュラーだが、今回は蟹ごはんと共にいただく。これだけ各国の材料・用法を用いているのに、国境を感じさせないおいしさだ。
 ショコラもまた世界を駆け抜け、ペルーのサン・マルティン県で出会ったカカオを使用している。ビターネスかつユニークな酸味があり、アーモンドのナンティーさも感じられる一粒だ。この料理とショコラのペアリングは、まるで世界中を旅をしているかのようだった。

  • 仔牛スネ肉のオッソブーコ、蟹の炊き込みご飯をストーブ鍋で

  • 第4章『サンマルティン~終わりなきカカオ探求の旅~』

5.「What is ART? EAT? SO MEET?」

 半分ずつ残しておいた4種のチョコレートを、改めて1章から順に食べる。すると、はじめの印象とは異なることに気がつく。どうしてか、はじめの一口よりも甘味や香りを強く感じるのだ。 日常生活に置き換えるならば、「気に入って購入したTシャツが、実はリバーシブルだった」という気持ちに近いと思う。表も裏も、違いはありながらもどちらもいい。そんなお得でうれしい感覚を得た。

チョコレートだけでも、料理だけでも、音楽だけでも表現できないが、この3人が「ディスカバリー=発見」を軸に互いを表現しあうことで、食事を超越した新しい世界が作り上げられていた。この様は、まさに「What is ART? EAT? SO MEET?」の名を表現していた。

 最後は、3人がこのイベントやReborn-Art Festivalに対する想いを語ってくれた。その中でもとくに印象的だったのが「1000年に1度のネガティブと言われた震災は、ポジティブな芽でもある」という小林氏の言葉。震災で失ったものは多いが、震災の前にはなかったものが生まれてきているのも事実だ。このイベントを通して、新しいポジティブの芽がまた少し成長したような気がした。Reborn-Art Festivalの今後の取り組みも見逃せない。

この記事を作った人

遠藤 麻矢(ヒトサラ編集部)

宮城県仙台市出身。親戚に2人の猟師を持つハンター家系で育ち、最近は自ら猟師を目指す鹿女。東北の訛りが抜けきらないものの、食材や生産者、料理人の想いを届けるべく、食にスポットをあてた取材を続けている。

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