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「アジアのベストレストラン50」第3位に輝いた【フロリレージュ】川手 寛康シェフ|第1~2話

国内外から注目を集める一流シェフや料理人、食に精通するスペシャリストをゲストに招き、ここでしか聞けない本音トークや食のトレンドをお届けするインターネットラジオ番組『ヒトサラ シェフズテーブル』。ダイジェストVol.23~24のゲストは、【フロリレージュ】の川手寛康シェフにお越しいただきました。

「アジアのベストレストラン50」第3位に輝いた【フロリレージュ】川手 寛康シェフ|第1~2話

 世界各国の有名料理評論家や、シェフ、レストランオーナーらの投票による格付けランキング「アジアのベストレストラン50」。その中で、近い将来トップ50に入る可能性が最も高いレストランに贈られる「注目のレストラン賞」を2016年に受賞した川手シェフは、翌年2017年に第14位、そして今年2018年には第3位に輝いた。ただ美味しいだけのお店ランキングではなく、「いかにその年、どれだけ人を幸せにできたかが受賞のカギとなる」と、川手シェフが語る本賞。2016年当時の受賞式の裏側や、お店を移転されてから変化したことなど、いま最も注目を浴びている川手シェフの本音に迫った。

第1話:日本勢がすごい!「アジアのベストレストラン50」

川手シェフが思う「アジアのベストレストラン50」とは

――レストランの賞というと一般的には【ミシュラン】が大きな権威になっていますが、それと比較して「アジアのベストレストラン50」の特徴などはあるんですか?

川手:大きく違うと思います。少し語弊があるかも知れませんが、「アジアのベストレストラン50」というのは、ただただ美味しいお店ランキングではないんです。いかに今年人を幸せに出来たレストランなのかという事がすごく問われるところだと思います。
表彰される側になるまではわからなかったんですが、彼らを見ているとやっぱり何かをやってきた人たちなんだと思いました。お客様だけでなく、農家さんだったり、食に関わるすべての人たちをどれだけ幸せにできたのかが、何となくランキングに反映されているんじゃないかなと思います。

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第2話:クリエイティブであること

 川手氏のコースの中に取り入れられている『ヘテロ』。「サステイナビリディ」などのテーマの中には、積極的に取り入れ始めた日本食材、経産牛や、「フードロス」の対策として野菜のくずを使用した料理が提供されていたり、次世代に残せるような継続的なメッセージが込められていた。料理ジャンルのボーダレス化も進む今日。10年後、20年後も料理人として常にクリエイティブであり続ける川手シェフの想いとは?

    『投影 はこべ 人参芋』人参芋の温かなピューレとはこべのスフレグラスを合わせ、早春の気配を皿の上に映し出した旬の一品

    『投影 はこべ 人参芋』人参芋の温かなピューレとはこべのスフレグラスを合わせ、早春の気配を皿の上に映し出した旬の一品

――移転されて1年半くらい(インタビュー当時)だと思いますが、移転当初と最近の川手さんがすごく変化されたと感じました。

川手:レストランは生き物なので、やっぱり成長するものなんですよね。生まれたての時は何をどうしていいのか手探りでやっていっていて1年半経ち、少しずつチームみんなも慣れてきた部分はあるかもしれないです。

――お店に出されているメニューを読み上げさせてもらいましたが…テーマと食材のみしか記載がない。

川手:これだけ聞くとなんのこっちゃわからないですよね(笑)
例えば、「ヘテロ」とは、「ちぐはぐ」という意味なんですけど。簡単に言うと「飽きない」という事なんです。これは料理人としてテーマにしていることの一つなんですが、食感、味わい、風味が一緒だと人間は飽きてしまうんですよね。だからなるべく料理の中で刺激を与えることを考えているのですが、その中でコースの流れを大きく変化させるという部分がヘテロなんです。

「サスティナビリティ」に込められたメッセージ

――コースの中に『サスティナビリティ:牛』とありますが、これはどういう意味ですか?

川手:僕のコースにはこどもを産んだ牛(経産牛)を使用しています。日本を代表する食材「和牛」は、そもそも子供を産むという概念のない牛たちなんです。ここが生産量の歯止めになっていて、頭数が明らかに減っているんですよ。和牛は年間で平均すると2%減っているんです。これが10年経てば20%になるんです。 僕は和牛は守るべき食材だと思っているし、自分の子供たちにも和牛を遺していってあげたいと思う。お金を持っている人たちだけのためのものにならないように取り入れています。

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ゲストプロフィール

Florilege 川手 寛康 氏

1978年生まれ。洋食のシェフであった父の影響で、迷わず料理人の道へ。【オオ ハラ エ シイアイイー】や【ル ブルギニオン】で腕を磨いた後、渡仏し星付き店で修業。帰国後【カンテサンス】のスーシェフを経て、自ら2009年【フロリレージュ】を開店し、2015年、神宮前に移転オープン。ソムリエ資格を取得するなど、ワインへの造詣も深い。2015年12月『ミシュランガイド東京2016』の一ツ星獲得。2016年には『Asia's 50 Best Restaurants』で「注目のレストラン賞」を獲得。2018年には3位に輝いた、プロの料理人も注目するフランス料理界の注目株。

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ヒトサラ編集部

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