とんかつ極めて40年、いつもの味がある幸せ【とんかつ庄内】
若林交差点が近づくと、ぴかぴか光るネオンサインのブーちゃんと「庄内」の文字に心ががときめく。1977年に創業し、「肉らしいほど! やわらかい」をキャッチフレーズにとびきりおいしいとんかつをつくり続ける【とんかつの店 庄内】。その魅力に迫ります。
とんかつ哲学に裏打ちされた「とんかつ定食」の美学
いつもの食事にはスタンダードなロースかつやひれかつの定食を。うんとお腹が空いているなら、どっしり大きな「特撰」や「ジャンボ」、厚みたっぷりの「厚切り」。そして、いつもよりポンと一段上の贅沢を楽しむなら、薩摩黒豚のとんかつを。新鮮な豚ロースは、軽く塩、胡椒を振って小麦粉をはたき、溶き卵にくぐらせる。
100席近い大店だから、てっきりバッター液を使うものとばかり思っていたが、「バッター液だと、ばりばり硬い仕上がりになってしまうので、うちのとんかつには合いません」とあくまでも味が第一。たっぷりのパン粉の上に肉を寝かせ、上にもこんもりとパン粉。そして、その上から優しくふんわりとパン粉を肉に押し付ける。
とんかつに最適なパン粉を自社グループのベーカリーで自家製。独創の「かつサンド」に使用しているクロワッサンもベーカリーにて自家製
「パン粉の自重で衣が付くぐらいのイメージで、たっぷり使ってふんわり軽く付けるんです」。そうして170℃のコーン油でじっくり数分間。厚さや肉のコンディションなどによっても揚げ時間は異なるので、タイマーはあれど最終的には職人の経験と勘がものを言う。
からりと揚がったとんかつは、天に向かって花が咲いたように衣が立っている。これがふんわり付けの効果。かぶりつけば、さくさくっと軽い食感ののち、衣がさらり、しゅわーっと溶けてゆく。まるで、上等なパイ生地にも似た感覚だ。中の豚ロースも、しっとりみっしりさっくりと、やわらかさと弾力が拮抗する歯ごたえ。もうひと噛みで、熱く滾った肉汁と甘みのある脂があふれてくる。
何もつけずに十分うまい。けれど雪のようにきめの細かい塩で味わえば、肉汁と脂のうまさが際立つ。2種類のソースを合わせると、今度は衣と肉、ソースの三位一体が白いごはんにとことん合う味へと変化する。そう、ごはんだ。洋食屋におけるポークカツレツにはパンという選択肢もあるだろう。しかし、とんかつ屋は白いごはんでなくてはならない。【庄内】のごはんはひとめぼれとササニシキを五分五分でブレンドしたオリジナル配合。
『厚切りひれかつ定食』1,850円(税込み)。1本を3等分にして揚げ、食べやすいよう6切れに。「棒」で揚げたことでよりやわらかく、肉汁が肉の中に留まる
「せっかくおいしいとんかつなんだから、ごはんも負けないぐらいおいしいものでなくちゃ。うちは味噌汁も何種類かのダシを合わせた赤だしなのよ。揚げものには、これがおいしいの」。そう言って、店長である藤野茂子さんが熱々のごはんと味噌汁をよそってくれる。職人の技と工夫が満々と詰まった味でありながら、サービスは実に家庭的であたたかい。このギャップもまた、【庄内】の魅力だ。
いつもの暮らしのすぐそばにあるご馳走とんかつを40年間守り、そして育ててきた。その味に、我々はいつまでたっても胸躍らされる。【とんかつの店 庄内】は、とんかつのワンダーランドである。
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仙台市営バスに乗って「若林小学校前」のバス停が近づくと、「肉らしいほど!やわらかい」のアナウンスが。ネオンサインが見えてきたら、お腹もグウ、と鳴ろうというも
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ソースはこっくりとした「甘口」と、スパイス感が強めの「辛口」の2種類。胡麻をすってソースと混ぜれば、さらにコクのある風味に
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住所:仙台市若林区若林5-6-21
電話番号:022-285-2343
営業時間:11:00~21:30
休日:なし
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