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更新日:2019.01.30健康美食 旅グルメ

ぜひ今年のうちに行きたい釜山の老舗冷麺店とそのメモリアルな理由

韓国の釜山では『ミルミョン』という郷土料理が親しまれている。小麦粉を麺の原料とする冷麺のことで、釜山にはたくさんの専門店がある。2019年はぜひ釜山までこのミルミョンを食べに行って欲しい。その理由と、釜山でおすすめしたい『ミルミョン』専門店を計5軒紹介。

釜山を代表する麺料理には韓国の歴史が刻まれている

釜山の住宅街を訪ねて

    牛岩洞までは地下鉄2号線の門峴駅から徒歩25分程度

 住宅街にニョキッと立った煙突。地元商店が並ぶ中でひときわ目立った存在ですが、近くまで寄ってみると、すでに閉店して久しいとのことでした。ここは韓国、釜山の牛岩洞(ウアムドン)という町。釜山といえば韓国第2の都市であり、最大の港町として大勢の観光客を集めますが、この牛岩洞を目指す観光客は稀でしょう。ぐるっと見渡してみても、あるのはリアルな日常だけ。およそ観光地とは言えませんが、この住宅街に出向くべき大きな理由がひとつあります。特に今年は。

    大通りから矢印の路地へ入ると【内湖冷麺】がある

 目指すべきは写真の矢印から入る細い路地。この先には「牛岩コルモク市場」(ウアムコルモクシジャン)があり、コルモクというのがまさに路地を意味します。空き店舗の多い寂れた雰囲気の市場ではあるのですが、この路地には韓国を代表する飲食店があります。

    路地にかかる【内湖冷麺】の看板。両側に店舗がある

 きちんと路地にさえ入ることができれば、「Since1919」と書かれた看板がすぐに見つかるはず。ハングルで書かれた店名は【内湖冷麺】(ネホネンミョン)と読み、1919年創業ということはすなわち、今年で100年というたいへんメモリアルなお店です。韓国で100年を超える老舗というのは非常に少なく、政府機関である韓食振興院の調べによれば、ここ【内湖冷麺】が韓国で3番目に古い歴史を持つ飲食店だそうです。なお、最古の飲食店はソウルにある1904年創業【里門ソルロンタン】、2番目は南西部の羅州(ナジュ)にある1910年創業の【ハヤンチプ】というお店です。

    咸興市内の風景。北朝鮮でも冷麺の本場として名高い

 そんな【内湖冷麺】の看板料理が『ミルミョン』。ミルが小麦、ミョンが麺を意味し、小麦粉で麺を作った冷麺を指します。現在では釜山の各地で郷土料理として広く親しまれていますが、この料理を生み出した元祖店がこちらのお店。一般的な冷麺がそば粉、またはジャガイモ、サツマイモのでんぷんを主材料として作るのに対し、小麦麺を使い始めたのにはある歴史的な理由があります。

釜山の美味しいミルミョン専門店を一挙紹介

    『ミルミョン』(小W6000、大W6500、写真は小)

 そもそも【内湖冷麺】が1919年に創業したのは釜山ではなく、朝鮮半島の北東部に位置する咸興(ハムン)という町でした。古くから冷麺の本場として知られる地域ですが、現在は南北が分断されて北朝鮮に位置します。1950年からの朝鮮戦争によって、南へと避難したのが釜山へとやってきた理由。その後、故郷に戻れぬまま釜山で店を開いたのが【内湖冷麺】です。もとの屋号は【トンチュン麺屋】と言いましたが、釜山で
店を開いた際、故郷の地名である「興南市内湖里」(フンナムシ ネホリ)から取りました。

    小麦粉麺だがでんぷんが混ぜてありシコシコとした食感

 釜山で店を開いたのは、朝鮮戦争の影響でたいへん困窮した時代。あらゆるものが不足する中、米軍の支援物資であった小麦粉を使って冷麺を作ったのは苦肉の策だったと言います。ところが意外にも食べた人たちの反応はよく、これはこれで美味しいということでそのまま定着。牛ダシの効いたスープに小麦麺を入れると、どこか冷やしラーメンのようでもあり、モチッとした麺の食感が小麦の風味を引き立てます。たっぷりの辛味ダレでピリッと辛い咸興冷麺の特徴を保ちつつ、また新たな料理が誕生したという訳です。

    【ハルメカヤミルミョン】の『ミルミョン』W5500

 現在では釜山中に広まってミルミョンの専門店がたくさんできています。観光客にとって行きやすいのは繁華街の南浦洞(ナムポドン)にある【ハルメカヤミルミョン】。スープに10数種類の韓方材を加えて煮込んであり、その風味がピリ辛のタレとよくマッチしています。

    【春夏秋冬ミルミョン】の『ミルミョン』W6000

 西面(ソミョン)に位置する【春夏秋冬ミルミョン】(チュナチュドンミルミョン)は、すすり心地のよい細みの麺と、かなり甘めに作ったスープが特徴です。ソウルの論峴洞(ノニョンドン)に支店があるので、そちらを目指してもいいですね。

    【伝統スッミルミョン】の『ミルミョン』W4500

 学生街の釜山大学前に位置する【伝統スッミルミョン】は、ヨモギを練り込んだオリジナルの麺が自慢。ヨモギ粉を煮込んでエキスを作り、それを小麦粉の生地と混ぜ合わせています。ほんのり緑がかった麺は見た目にも爽快であり、ほんのり甘めのスープとも相性抜群です。

    【キムガネカヤミルミョン】の『ミルミョン』W5500

 最後は金海国際空港からほど近い【キムガネカヤミルミョン】。牛骨ベースのスープに各種野菜を加えて甘味を出しているのが特徴。空港から軽電鉄でひと駅の徳斗(トクトゥ)駅近くにあるため、帰国直前でもさっと行って食べられるのが嬉しいですね。

 以上、元祖店の【内湖冷麺】を含めてミルミョンの専門店5軒。いずれもおすすめではありますが、韓国の地方を歩き慣れた方であればぜひ、今年のうちに【内湖冷麺】を目指してみてください。

■ ミルミョンの専門店5軒はこちら

【ネホ冷麺(내호냉면)】
電話:+82-51-635-2295
住所:釜山市中区牛岩繁栄路26番キル17
住所:부산시 남구 우암번영로26번길 17

【春夏秋冬ミルミョン(춘하추동밀면)】
電話:+82-51-809-8659
住所:釜山市釜山鎮区西面文化路48-1
住所:부산시 부산진구 서면문화로 48-1

【ハルメカヤミルミョン(할매가야밀면)】
電話:+82-51-246-3314
住所:釜山市中区光復路56-14
住所:부산시 중구 광복로 56-14

【伝統スッミルミョン(전통쑥밀면)】
電話:+82-51-515-9337
住所:釜山市金井区釜山大学路38
住所:부산시 금정구 부산대학로 38

【キムガネカヤミルミョン(김가네가야밀면)】
電話:+82-51-973-3390
住所:釜山市江西区空港アプキル21
住所:부산시 강서구 공항앞길 21

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この記事を作った人

八田靖史(フリーライター)

慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「イラストでわかる はじめてのハングル」(高橋書店)。WEBサイト「韓食生活」を運営。

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