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更新日:2021.04.04食トレンド

「ランタン」など、人気店を手掛ける丸山智博さんディレクションの“新酒場”|神泉【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】

神泉にある【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】は、旬素材を使った一品料理と本格焼酎を揃えたお店。と聞くと、よくある居酒屋を思い浮かべますが、さにあらず! ディレクションしたのは【MAISON CINQUANTECINQ】や【LANTERNE】など多くの人気店を手掛ける丸山智博さんだからこそ、+αな新しい魅力にあふれています。

神泉【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】

生産者から届く旬素材に、フレンチのエッセンスを香らせて

    神泉駅を下車してから徒歩1分もかからない好立地。街に根付いたビストロやカフェのような趣がある。

    神泉駅を下車してから徒歩1分もかからない好立地。街に根付いたビストロやカフェのような趣がある。

【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】があるのは、神泉駅を降りたらすぐ目に入る、少し時を経たビルの1階。ガラス窓には、まるでパリの街角に佇むビストロやカフェを思わせるサインペインティングが施されています。

ドアを開けると、湯気を上げる蒸籠と炭火の焼き台を設けたオープンキッチンが迎えてくれます。外観の印象から一転、小料理屋さんのような空間に。

    厨房の音や香りがダイレクトに伝わるカウンターの他、立ち飲み用スタンドとテーブル席がある。

    厨房の音や香りがダイレクトに伝わるカウンターの他、立ち飲み用スタンドとテーブル席がある。

カウンターから目の当たりにできる厨房で、作り上げられる数々の料理は、季節野菜の小鉢に焼き物や煮物、〆まで揃っています。

中でも「名物料理」と掲げる3品は必食です。

『雲丹のせ笹豚焼売 ライムリーフの香り』

    オーダーごとに蒸し上げるから熱々ジューシー。これまでの焼売にない香り高さが印象的。990円(税込)

    オーダーごとに蒸し上げるから熱々ジューシー。これまでの焼売にない香り高さが印象的。990円(税込)

フレンチの料理人でもある丸山智博さんが手掛けるなら、どんなメニューが生まれるのでしょうか? 意外にも、焼売や〆鯖といったお馴染みのラインナップ。でも、そんな奇をてらわない一品に「香り」という要素を重ねることで、素材のレイヤーを楽しむフレンチのエッセンスを効かせています。

まずは、オーダーごとに蒸し上げられる『雲丹のせ笹豚焼売 ライムリーフの香り』を。

餡は、北海道旭川産の「笹豚」を手切りにして肉肉しさを残し、帆立の旨み、筍と玉ねぎの食感をプラスしたもの。蒸籠にライムリーフを入れて蒸し上げ、仕上げに雲丹をのせて。蓋を開ければ爽やかな芳香が立ち上り、焼売を口に入れると、ジューシーな肉汁と雲丹のコクが広がります。焼売に纏わせたライムリーフの香りにオリジナリティが光ります。

『炙り〆鯖 春菊醤油仕立て』

    新鮮な鯖を浅めに締めて、仕上がりは柔らか。炙った香りと胡麻の風味に、春菊の瑞々しさが合う。968円(税込)

    新鮮な鯖を浅めに締めて、仕上がりは柔らか。炙った香りと胡麻の風味に、春菊の瑞々しさが合う。968円(税込)

居酒屋の定番、〆鯖にも香りのアクセントを。

鯖をまろやかな酢と塩で締めて、皮目を炙り、香ばしい煎り胡麻をまぶしています。そこに添えたのは、春菊と醤油を合わせたピュレ。脂のりがいい鯖に春菊の鮮烈な香りがぴったりです。

『宮崎直送 黒岩土鶏のたたき盛り合わせ』

    表面は香ばしく、中はしっとりした火入れ。始めはシンプルに塩で、それから甘醬油に薬味を入れて味わいたい。1,650円(税込)

    表面は香ばしく、中はしっとりした火入れ。始めはシンプルに塩で、それから甘醬油に薬味を入れて味わいたい。1,650円(税込)

自慢の素材をストレートに味わえるのが『宮崎直送 黒岩土鶏のたたき盛り合わせ』。

「黒岩土鶏」とは、宮崎県・尾鈴山で黒岩正志さんが放し飼いした鶏。手つかずの自然の中で育った鶏の味わいに丸山さんが惚れ込み、仕入れが叶ったものなのです。

もも肉と胸肉に、その日の状況によって変わる砂肝やレバー、ハツなどを加えた3部位を盛り合わせに。炭火で炙った鶏肉は香ばしさが際立ち、雑味のない澄んだ味わいに驚きます。生姜やわさびを入れた醤油、フランス産の唐辛子・エスプレットやカマルグ海塩など、添えられた薬味をお好みで楽しんで。

    炭火で皮目からこんがりと焼いた、黒岩土鶏のたたき。

    炭火で皮目からこんがりと焼いた、黒岩土鶏のたたき。

この黒岩土鶏を余すことなく味わうため、鶏ガラでスープを取ってフォーとして提供。存分に食べて飲んでの後でも、つるりと収まる〆の麺はぜひともご賞味あれ。

厳選した本格焼酎は、新しい飲み方でも楽しめます

かつてブームとなった焼酎。プレミアムな銘柄だけでなく、素材や地域、ヴィンテージなどで多彩な味わいが生まれ、ワインや日本酒のように楽しめるお酒として改めて注目されています。

【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】では焼酎にスポットを当て、料理に合わせて味わえるように提案してくれます。

    宮崎県にある尾鈴山醸造所の芋焼酎「山ねこ」、米焼酎「山翡翠」、麦焼酎「山猿」。グラス各660円(税込)

    宮崎県にある尾鈴山醸造所の芋焼酎「山ねこ」、米焼酎「山翡翠」、麦焼酎「山猿」。グラス各660円(税込)

『宮崎直送 黒岩土鶏のたたき盛り合わせ』におすすめなのは、産地を同じくする宮崎・尾鈴山醸造所の焼酎。ワインで言うところの〝テロワール〟が同じ料理と焼酎で、マリアージュを楽しめるのも新しい体験です。

    焼酎の水割りはワイングラスで提供。香りが立ち、氷で薄まることなく楽しめる。本日の焼酎660円~(税込)

    焼酎の水割りはワイングラスで提供。香りが立ち、氷で薄まることなく楽しめる。本日の焼酎660円~(税込)

焼酎水割りは、まず焼酎と氷をシェーカーに入れて振り、よく冷やしてからワイングラスへ。それからゆっくりと水を加えることで、グラスを傾けて口に含んでから飲み切るまで、本来の風味を損なうことなく堪能できます。香りがぐんと引き立つ、お湯割りもまた良し。料理や好みに合わせて、おすすめを相談してもOK。

    唐辛子の辛みと大葉の香りによって、飲みやすくなる『金魚割り』は660円(税込)。昆布や梅を入れたお湯割り、レモングラスほうじ茶割りなど、飲み方のバラエティも豊富。

    唐辛子の辛みと大葉の香りによって、飲みやすくなる『金魚割り』は660円(税込)。昆布や梅を入れたお湯割り、レモングラスほうじ茶割りなど、飲み方のバラエティも豊富。

カジュアルに楽しめる一杯として、人気が高い『金魚割り』。芋焼酎の「大和桜 紅芋」に唐辛子と大葉を入れて、金魚と水草に見立てています。芋のほんのりとした甘さを唐辛子がピリッと引き締めます。

焼酎は、その時期におすすめのものを常時入れ替えているので、訪れるたびに新しい出会いがあるかもしれません。

「居たくなる酒場」をテーマに、空間とサービスにもこだわりを

    代々木上原の【MAISON CINQUANTECINQ】、【LANTERNE】、【AELU】などを手掛ける丸山智博さん。【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】は「このままパリにあっても違和感がない酒場」を思い描いてディレクション。

    代々木上原の【MAISON CINQUANTECINQ】、【LANTERNE】、【AELU】などを手掛ける丸山智博さん。【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】は「このままパリにあっても違和感がない酒場」を思い描いてディレクション。

丸山さん曰く、第一に考えたのは「居心地のよい酒場ってどんなところだろう?」
それには料理と内装とサービス、すべてのクオリティを欠くことができませんでした。

    ふらりと立ち寄って、美味しい肴とグラスを傾けるのにぴったりな立ち飲み用のスタンド。

    ふらりと立ち寄って、美味しい肴とグラスを傾けるのにぴったりな立ち飲み用のスタンド。

カウンターをメインに、立ち飲み席と6人掛けのテーブルを配した空間は、いつもの夕食処としても、ちょい飲みアペロや〆の一杯にも、気の置けない友人とのひとときにもぴったり。

さり気なく配されたのは、バウハウスの「ウルムスツール」や、ベトナム製ソンベ焼きの花器など。選りすぐりの上質なアイテムが主張しすぎることなく、調和しつつ在るのも居心地のよさをもたらす一要素です。

    厨房から気さくに声をかけてくれる、店長の山本誠也さんと副店長の桜井茜さん。

    厨房から気さくに声をかけてくれる、店長の山本誠也さんと副店長の桜井茜さん。

そして、店長・山本誠也さんと副店長・桜井茜さんの呼吸もぴったり、フレンドリーな接客にほっと肩の力が抜けるはず。隣席の楽しい雰囲気が伝播するのも、キッチンとダイニングが一体になったミニマルな酒場の醍醐味かもしれません。

とは言え、丸山さんにとっては「あくまでもテーブルの上が主役」です。だからこそ、食材の生産者や焼酎の蔵元と真摯に向き合って、〝いいもの〟を伝える美味しい一皿に仕上げます。

【居酒場 IGOR COSY SHINSEN】という店名に冠したのは「居酒屋」ではなく「居酒場」。耳馴染みはいいけれど、これまでに聞いたことがない新しい言葉。〝すっと馴染むけれど新しい〟は、このお店のスタンスを表しているようです。

いつ訪れても飽きることがない、でも日常にちょっぴり彩りをプラスしてくれる。そんな酒場が誕生しました。

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/首藤奈穂(フリーライター)

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