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更新日:2017.06.19グルメラボ 連載

新たな時代を切り拓く、旬中華に熱視線! from「ヒトサラSpecial」

いま、まさに注目度が高まっている「中華」。本場の中国料理をベースに、シェフの個性が加えられた日本ならではの中華が増えています。深化か、それとも進化か。いま注目すべき中国料理店をご紹介します。

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シェフの個性が溢れる新たなる中華料理店

中国各地を歩いて見つけ出した田舎料理を
日本の地で再構築【蓮香】

    シェフの小山内氏はかつて麻布【ナポレオンフィッシュ】の料理長として腕を振るい、名店に押し上げた人物。確かな食材知識と、その持ち味を引き出す技術と味付けのバリエーションは、その豊富な経験に裏付けられている

 中国料理の看板を掲げるものの、この店には酢豚もエビチリも麻婆豆腐もない。メニューに登場するのは、親から子へ受け継がれる家庭料理、限られた地域でのみ食べられる田舎料理、辺境の村に脈々と続く少数民族の料理。当の中国でさえ忘れつつあるような料理を日本の地で再現するのが、ここ【蓮香】なのだ。

    四川省ではファストフードとしても愛される辛口の『鉢鉢鶏』。串を使わず木鉢に盛り付けるのがこちらの流儀

 料理の元となるのは、すべて小山内耕也シェフの舌の記憶。バスを乗り継ぎ、広大な中国のあちこちに足を運び、街の小さな食堂で料理を頼む。そこで出会った味の記憶を、豊富な知識と確かな技術で再構築する。

    おまかせコースは日替わりで12~13品。各種の醤をはじめとした多彩な調味料、発芽大豆や軟化栽培の葉にんにくといった珍しい野菜類を使いながら、日本人にも馴染みやすい味に仕立てている

「ネタには困りませんよ。それこそ一生かかっても足りないぐらい」と小山内氏が笑うように、広大な国土と悠久の歴史に支えられた中国の食文化は無限。それゆえにこの店には、いつ訪れても驚きと発見があり、そして確かな満足を約束してくれるのだ。

  • 「かつては廃墟でした」という建物が舞台。飾り気はないが、不思議と居心地の良い空間になっている

  • 酒は冷蔵庫から各自で直接取り出すセルフスタイル。2900円均一という採算度外視の価格設定がうれしい

 少し無骨な店構えと、おまかせコース一本のメニュー、そして未知なる料理の数々。一般的なレストランの概念とは異なるかもしれない。しかし、ただひとつ確かなことは、どの料理も必ず旨いということ。それは今日も予約でいっぱいのテーブルと、客席に弾ける笑顔がはっきりと証明している。

江南料理の奥深さを探求し
伝統の再現から新しきを生む【JASMINE憶江南】

    『JASMINE名物“よだれ鶏”蒸し鶏の特製香ラー油』。ラー油には本場で買い付けた15種類の香辛料を使う

「フレンチや和食を取り入れた中華の人気が高まっていますが、自分が大切にするのは中国の長い歴史の中で研鑽され続けた調理法です」そう芯のある口調で語る鯨井勇一氏。【JASMINE 広尾本店】の立ち上げから、総料理長である山口祐介氏の右腕として志をともにしてきたシェフである。

    学生時代から中華一筋の鯨井シェフ。日本橋など姉妹店でも結果を残し続けてきた。次なる新境地にも期待

 そんな鯨井氏が得意とするのは揚子江下流、江南地方の郷土料理。“魚米の郷”と呼ばれるほど魚介類や農産物に恵まれ、素材の味を活かした日本人の舌に馴染みやすい料理が多い。それでいて、蓮の葉と土で包んで焼き上げる乞食鶏、豚などの頭を食材とした揚州三頭、リスを模した魚の丸揚げなど、自慢の伝統名菜には風変わりな料理もある。

    江南料理の代表格という『獅子頭 大きな肉団子 伝統的な上海醤油煮込み』。角切りの豚バラ肉を練り上げ、卵と水のつなぎだけで柔らかな食感に仕上げている。

 たとえば、獅子頭をイメージした大きな肉団子。台座にはマッシュポテトを使い、ともに食感はふわりと柔らか。紹興酒とたまり醤油を煮詰めたタレが絶妙に馴染む。また、本店の名物でもあるよだれ鶏は、湯を沸騰させずに総州古白鶏を火入れし、旨みと水分を閉じ込めた。豊かな弾力とほど良い刺激が心地よい。「記憶に残る味に仕上げるため、伝統を再現しながらひと手間やアイデアを加えています」と鯨井氏の言葉にも力が入る。

  • 一軒家レストランらしい落ち着いた雰囲気。バーカウンター、ベランダ付きの個室などを備え使い勝手もいい

  • ワインと紹興酒を軸に約100種が揃うアルコール類。千差万別の組み合わせで江南料理との相性を含味できる

 店は2016年3月にオープンしたばかり。駅から離れた閑静な住宅街にありながら客足が途絶えない。その理由は、奇をてらわず妥協のない創意工夫でゲストをもてなす、温故知新の精神がなせる技なのだ。

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ヒトサラ編集部

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