更新日:2025.05.09食トレンド
渋沢栄一邸宅跡地にカカオの可能性を探究するラボ【nib】が誕生! 限定8席の体験型デセールコースとは?|日本橋兜町
2024年12月21日、イートクリエーターが手掛ける「食」と「香り」の新たなスペースが、歴史を感じる日本橋兜町の渋沢栄一邸宅跡地「日証館」にオープンしました。「食」のスペース【nib(ニブ)】では、眞砂翔平氏が立つシェフズテーブルでカカオ尽くしのデセールコースをご用意。「香り」をテーマにしたフレグランスロビーでは、オリジナルブランド「LAURASIA(ローラシア)」を中心に展開します。
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コスタリカで感じ得たカカオの真価を伝えるため【nib】を開業
体験することで一層カカオへの興味が湧くデセールコース
「LAURASIA」をラインアップするフレグランスロビー
コスタリカで感じ得たカカオの真価を伝えるため【nib】を開業
手前が【nib】のシェフズテーブル、奥がフレグランスロビー
【nib】が誕生したのは、日本橋兜町にある渋沢栄一邸宅跡地に建てられた歴史資産である「日証館」の1階。扉を開けて左へと進むと、限定8席のシェフズテーブルがゆったりとした間隔で並びます。
【nib】の床にさりげなくデザインされたタイルのロゴ
開業にあたり、壁にカカオ豆の外皮を練り込んだ素材を使用するなどオリジナリティある空間にしながらも、手を入れすぎることなく、積み重ねた歴史を感じることができるのが印象的です。「最初は発酵臭がしましたが、今は落ち着いてきました。剥げてしまっても建物の古さと自然と馴染んでいます」と眞砂氏。
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【nib】のシェフ・眞砂翔平氏は、【パスカル・ル・ガック東京】でシェフパティシエを務め、2021年には「日証館」にチョコレートとアイスクリームのお店【teal】を開業
眞砂氏が【nib】の開業に至ったのは、自身がコスタリカを訪れた時の経験が大きいと語ります。「現地で目にしたものは、自分の頭の中で思い描いていた生産者や農園、チョコレート工場とは全く違ったものでした。学校の教科書では3品種と教わっていたカカオの品種が、コスタリカでは1200種も保存され、それぞれ味や形、色なども品種ごとに異なり、正直とても驚いたのを覚えています。カカオの真の価値は『食体験』であり、チョコレートにすることだけではありません。僕が本物のカカオを見て食べて知ったときのギャップや感動を、僕自身が作るものによってみなさんにもお届けしたい。そして、カカオの新たな価値や可能性を伝えるためのブランドを作ろうと思いました」。
そのような熱い想いから【nib】ではショコラティエの枠を超え、チョコレートだけではないカカオの魅力や表現を詰め込んだデセールコースを展開します。
体験することで一層カカオへの興味が湧くデセールコース
熱した鉄鍋の上にカカオ豆を並べ、じっくり香ばしく加熱
シェフズテーブルで用意するカカオのデザートコース(5,500円)は、ドリンク『カカオの のみもの』、選べる小菓子4種 カカオの調理発見『ひとつまみ』、皿盛りデザート「nibから」という名の一皿、おまけ。
まず席に着くと、ハンバーグを焼くかのような鍋に火が灯され、その鉄板の上にカカオ豆を煎ることからスタート。徐々に色が変わって香ばしくなったところで、1粒選んで茶器に入れると、水出しカカオのお茶を注いでくれます。フルーティーに水出ししたものに、煎った豆を入れることで香ばしさをプラス。豊かな香りに癒されます。
残りのカカオ豆は、小さな器に移し、木の棒でグリグリ砕いていきます。かなり力がいる作業で、カカオ豆の皮の厚みを実感。皮の中から取り出したカカオニブをスイーツの材料のひとつとして飾り付けるのですが「大きなものは食感が良くなり、細かくしたものは香りがよく出ます」と眞砂氏がアドバイスしてくれました。
選べる小菓子4種 カカオの調理発見『ひとつまみ』
先ほど取り出したカカオニブは、手前右から2番目の『ジブンのカカオ』と題されたスイーツにトッピング。自分で作ることで、より味わい深く感じるものです。6種類すべてがカカオにちなんだスイーツです。
奥左から2番目の真っ白なお菓子は「シェードツリーとカカオの実」という名前。カカオを育てる際、日影がいいのでライチやバナナの木を隣に植えて影をつくるそうで、カカオパルプと共にそれらのフルーツの風味を感じるギモーブに。そういったストーリーを知りながら味わうことができるのも【nib】ならでは。同じカカオを題材にしていても、これほど多彩で異なる食感や風味を生み出せることに驚かされます。
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カカオマスをすり鉢で練って、ハチミツをプラス
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カウンターで8名分のデセールを仕上げる様子は圧巻
コースのメインとなる『日本の山とカカオの共存』
カカオハスクで作るアイスクリームやコスタリカ産のチョコレートのガナッシュ、カカオの親戚と呼ばれるマカンボから作った豆腐などを盛り込んでいます。仕上げに眞砂氏がすり鉢で練り上げたカカオマスをトッピングすればできあがり。まさにカカオの新たな可能性を教えてくれるひと皿です。1月以降は予約なしでの来店が可能に。同時にアラカルトメニューの提供も開始し、テイクアウトも随時スタート予定。
「LAURASIA」をラインアップするフレグランスロビー
エントランスに置かれたオリジナルの蒸留器
エントランスを入って右側のエリアには「香り」をテーマにしたフレグランスロビーが広がります。こちらには、オリジナルブランド「LAURASIA」がラインナップされ、調香師の山内みよ氏による蒸留機能を活かした実験的な取り組みを展開。【nib】のデセールで使用した果物の皮やスパイスなどの廃棄予定の素材を活用し抽出した香りの開発や、屋上菜園プロジェクト「Edible KAYABAEN」とのコラボレーションなど、香りによる新たなアプローチを行っていきます。また、開業に際し、山内氏が“錦秋”という意味を持つ「日証館」の香りを調香しました。
1つの空間で「食」と「香り」の2つを体験できる新たなスポット。ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。それぞれの心を刺激する「食」と「香り」を探してみてください。
この記事を作った人
外川ゆい
フードジャーナリスト。つくり手のストーリーや想いを伝えることを信条に、レストラン、ホテル、スイーツ、お酒など、食にまつわる記事を執筆。出産を経て食育への関心も高まり、食いしん坊な息子との食卓を楽しんでいる。グルメライター歴は22年。
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