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更新日:2019.10.17連載

頑固な店主がつくる、優しいカレー【吉田カレー/荻窪】| ヒトサラ Bグルマン部 #5

“B級グルメ美食家”たちが集い、愛するお店を熱く語る「ヒトサラ Bグルマン部」。今回のテーマは、見ているだけでお腹が空いてくる「“男の”インスタ映え」、カレー編です! 世間で流行の、キレイやかわいいインスタ映えではなく、“シズル感”と“ワクワク感”のあるカレー屋、荻窪の【吉田カレー】をご紹介します!

頑固な店主がつくる、優しいカレー【吉田カレー/荻窪】| ヒトサラ Bグルマン部 #5

Bグルマン部 今回のテーマ
「“男の”インスタ映え」

 カレーの話ばかりしていたら、「君と話すとカレーを沢山食べた気になる」と言われ、一緒にカレー屋に行ってくれる人が減りました。

どうも、ヒトサラ編集部「Bグルマン部」カレー担当の関口です。
今回のテーマは、見ているだけでお腹が空いてくる「“男の”インスタ映え」。トッピング次第でボリューミーにもシックにもなる変幻自在のカレー店、荻窪の【吉田カレー】をご紹介します!

【吉田カレー】
至高の味にありつくまでのルール

    吉田カレーの入り口

    入り口前にこんな紙が貼ってあるが、それでもここのカレーを求めて連日行列が絶えない

 さて、今回の【吉田カレー】だが、最初に言っておこう。このお店、かなり特殊である。店に着いてから注文するまでに、事前に知っておくべきルールがいくつもあるのだ。そりゃあそうだ。至高の「“男の”インスタ映え」カレーにそう簡単にありつけると思っていただいては困る。

まずは入り口をみつけよう

 まず初めにすべきことは「お店を発見すること」である。何を当たり前のことを……と思ったあなた! 入り口は営業中もシャッターが半分しか開いていないのだ。一見さんには分かり辛いこのお店、まずは発見することが最初のミッションである。

    吉田カレーの外観

    店に入るには、この閉まりかけのシャッターをくぐり、薄暗い階段を上る。まるで異世界に繋がるトンネルのようだ

時間帯によっては外の道にまで行列ができることもある。シャッターの先は薄暗い階段で、夜に行くとちょっとした恐怖。皆、無言でスマホをいじっていて、暗闇に照らされた顔がボヤーっと空中に浮いているように見えるのだ。
順番を待ち、無事に店内までたどり着いても焦ってはいけない。

「鋼鉄のおきて4箇条」を順守せよ

    吉田カレーの掟

    扉を開けた正面の壁に貼ってある「鋼鉄のおきて4箇条」

これが有名な【吉田カレー】名物、「鋼鉄のおきて4箇条」。こんな張り紙をされると「なんだか恐そう……」と思うだろうが、安心してほしい。これは、大勢が並ぶ行列店を切り盛りする店主が、お客様に最短でカレーを出せるように考え抜いた、いわば最大限の「おもてなし」なのだ。

    吉田カレーの内観

    席はカウンターが3席と、最大4名までのテーブル席、2名のテーブル席の、計9席

店内には注意事項が散在しているので、ここに書いていないものも含めて簡単にルールをまとめると──

気をつけるべき点はこんなところだろう。書き方が威圧的なだけで、考えてみれば普通のことかもしれない。実際、このルールさえ守っていれば特に何事もなく、最高に美味いカレーにありつける。
(筆者も初訪問時はビビッていたが、ひとりで美味しそうに食べている20代前半の女の子の姿を見て安心したのを覚えている。)

辛い中にも甘さすら感じる、
“フルーティ”なカレー

    吉田カレーの並盛

    メニューの中でもベーシックな組み合わせの『並盛/MIX』1,300円(税込)

 さあ、いよいよ注文だ! ここのカレーは「トッピング」で自分好みの味にしていくスタイルなので、お店に入る前に下記のメニュー表に目を通しておいた方がいい。階段で注文を聞かれるので、並んでいる間に決めておくといいだろう。

  • 吉田カレーのメニュー

    まずはカレーの辛さと、ご飯の量を選ぶ。そこにトッピングで味を足していくのが【吉田カレー】のスタイルだ

  • 吉田カレーのメニュー

    こちらがトッピングメニュー。ところどころに“吉田節”が炸裂している

おすすめのトッピングについてはしっかりと後述するが、まず最初に触れておきたいのはカレーの“フルーティ”な風味。筆者がおすすめするのは甘口と辛口の「MIX」だ。
写真の二層に分かれたキレイなラインが分かるだろうか……。

    吉田カレーの並盛

    矢印のあたりから円状に、辛口と甘口の境目ができている。スマホの画面をめいっぱい明るくして見てほしい

辛口と甘口を交互に食べても良し、混ぜて食べても良しなのだが、特筆すべきはそのフルーティな甘味と香りである。
【吉田カレー】のカレーは野菜と果物をベースにつくられているので、優しく爽やかな味わい。辛い中にも甘味がしっかりと感じられ、後から爽やかな香りが広がるこの感覚は、ここにしかないオリジナルだ。甘口部分ではよりクリアにその甘味が感じられる。

また、小麦粉を使っておらず、無添加、無化調なのも【吉田カレー】の特徴。威圧的な店構えとは裏腹に……(笑)、体にとっても優しいのだ!

    キーマには玉子が乗っている。まずはキーマだけで食べてその旨味を味わってから、次に玉子を絡めて風味の違いを楽しむことをおすすめする

    キーマには玉子が乗っている。まずはキーマだけで食べてその旨味を味わってから、次に玉子を絡めて風味の違いを楽しむことをおすすめする

見よ、この美しくフォトジェニックなキーマカレーを!
ここのキーマには独特の旨味がある。どうやらシナモンが入っているらしい。カレーが“あっさり”なのに対し、キーマカレーは“旨味”の部分を担っているので互いの相性が抜群だ。

  • 吉田カレーの並盛

    玉子をこうして……

  • 吉田カレーの並盛

    こうする瞬間はいつもたまらない

それではここから、そのほかのトッピングについても深堀りしていこうと思う。今回のテーマである、見ているだけでお腹が空いてくる「“男の”インスタ映えカレー」のトッピングを伝授しよう。

好みの味に足し引きしていく、
自分だけの“トッピング”

 ここからは、筆者がおすすめするトッピングのバリエーションを紹介していく。長文なので、まずは写真を見てから、気になったトッピングの説明を中心に読んでほしい。

トッピング「豚」

    吉田カレーの並盛/MIX+豚

    巨大な豚肉の塊が入った『並盛/MIX+豚』1,650円(税込)

 巨大な豚肉の塊をトッピングした『並盛/MIX+豚』。この豚肉はとっても柔らかく、口の中で本当にとろけてしまうのだ。初めて食べる人は、感動することだろう。

  • 吉田カレーのトッピング「豚」

    見事な迫力のトッピング「豚」350円(税込)

  • 吉田カレーのトッピング「豚」

    身はスプーンで崩して食べられるほど柔らかく煮込んである

トッピング「豚+チーズ+中華アチャール」

    吉田カレーの並盛/MIX+豚+チーズ+中華アチャール

    炙りチーズと特性アチャールをプラスした『並盛/MIX+豚+チーズ+中華アチャール』1,900円(税込)

「豚」に更にトッピングを上乗せすることで、かなりのハードボリュームなカレーの完成! これこそが「“男の”インスタ映えカレー」である。
この組み合わせ、「チーズ」と「豚」の旨味を堪能した後、「中華アチャール」が口をリセットし、また「豚」をかじりたくなるという無限ループが生まれ、最高に美味い。

だが、本当にボリューム満点なので、食べ切る自信がない人はむやみにトッピングを注文するのは避けるべし。
ご飯の量は「小」のほか、値段は変わらないが「小より少なく」や豚肉の小さいサイズも注文可能だ。食べ切れる範囲で注文することを心がけよう。
(メニュー表にもあるが、「食材を無駄にしたくない」という店主の思いから、頼み過ぎて残した場合は別途処理代を払うことになる)

    吉田カレーの中華アチャール

    「中華アチャール」150円(税込) にんにく、しょうが、ねぎ、複数のスパイスが入った、カレー玄人におすすめのトッピングだ

トッピング「納豆+中華アチャール」

    納豆までも包み込む【吉田カレー】の包容力に感動してしまう『並盛/MIX+納豆+中華アチャール』1,550円(税込)

    納豆までも包み込む【吉田カレー】の包容力に感動してしまう『並盛/MIX+納豆+中華アチャール』1,550円(税込)

 最後は変わり種のトッピング、「納豆」をご紹介しよう。このトッピングは【吉田カレー】の特徴を一番感じ取れるのではないかと筆者は思っている。
味も香りもクセの強い納豆だが、フルーティなカレーが上手くそれを包み込むのだ。納豆のもつなめらかさと、あっさりしたカレーが上手く共鳴し、自然な旨味となって口の中に広がる。
本当に美味しいので是非、試してほしい。

最後に──

    吉田カレーの注意書き

 決して客に媚びず、誇りとこだわりを持ってカレーをつくり続ける【吉田カレー】。店主の仕込むカレーには、どんなトッピングをも受け止める“優しさ”が溢れている。
入り口には注意書きがベタベタと貼ってあり威圧感すらあるものの、帰りの出口には気遣いの張り紙が。きれいに完食して帰るお客さんには、とことん“優しい”お店なのである。

  • 吉田カレーの外観

  • 電話:非公開
    営業時間:11:30~13:50、17:30~20:00
    定休日:水曜・木曜・日曜・祝日
    ※営業時間は日によって変動あり。詳しくは下記リンク先のホームページを参照

この記事を作った人

関口 潤(ヒトサラ編集部)

「ヒトサラ Bグルマン部」カレー担当。ママチャリを乗り回して都内のカレー屋巡りをするのが日課で、愛用のスマホケースからは染みついたカレーの匂いがほんのり香る。カレーを愛しカレーに愛され、カレーを中心とした生活を送る男。

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