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更新日:2017.08.22健康美食

アスリートに学ぶ、桑原弘樹の「おいしい料理をさらにおいしく食べる技」

いろいろなジャンルのアスリートとの交流がある桑原さんですが、アスリートにはグルメが多いと感じているようです。そこには、アスリートならではの理由が。では、アスリートのグルメライフを少しのぞいてみましょう。

アスリートに学ぶ、桑原弘樹の「おいしい料理をさらにおいしく食べる技」

食事面で制約が多いはずのアスリートが”グルメ”な訳

 ジャンルにもよりますが、タニマチと呼ばれるスポンサーがついていたりすると、巡業や興行のたびにおいしいお店に連れていってもらうため、アスリートは舌が自然と肥えていくのでしょうか。
あるいはシーズン中は忙しくて、食べることくらいしか楽しみがないというケースもあるのかもしれません。
 野球、相撲、プロレスのように地方にも行く競技の場合は、その地方での名産を食する機会も多いことでしょう。またチャンコ文化のある相撲やプロレスは、若手の頃から味付けの仕方を勉強していきますから、必然的に味覚は磨かれていくようです。

 このようにアスリートはストイックに食事制限を求められる一方で、舌はどんどんと肥えていく傾向にあります。

誰もが持ってる「空腹」という最高のスパイス

    味覚は舌だけで感じるものではないのかも

    味覚は舌だけで感じるものではないのかも

 大抵の場合、味覚とは相対的なものです。甘いものを食べた後の酸味はきつく感じるでしょうし、甘いものを食べ続けると甘さに慣れてしまったりもします。私自身減量などをするたびに感じるのは、空腹は最高のスパイスということです。調味料や濃い味付けからしばらく遠ざかると、野菜の甘さや苦みなども敏感に分かるようになってきます。

 空腹をたびたび経験するアスリートが故に、もしかするとグルメになるのは必然なのかもしれません。もしもおいしいお店を見つけたら、美味しさを最上級レベルで堪能するために、数日間減量をしてみるのも新しいかもしれませんね。ただし、単に食べない減量ではなく、脂質や濃い味付けの調味料を控えるなどをして、味覚の精度をあげるという目的で行う減量です。

アスリートには味の情報がDNAにまで深く刻み込まれている

  • お腹が空いても好きなものがもっとおいしく食べれると思えば我慢できるはず

    お腹が空いても好きなものがもっとおいしく食べれると思えば我慢できるはず

 もうひとつアスリートと味覚を結びつけるのはDNAではないかと思います。

 味は非常に強烈な情報であるため、例えば甘みはエネルギー源、苦みは毒、酸味は腐ったもの、塩味はミネラルという具合にDNAレベルで組み込まれているのです。小さな子供が甘いものは抵抗なく口にしますが、酸っぱいものは吐き出すのはそのためなのです。子供の頃苦手だった苦みのある食材を大人になって食べられるようになるのは、頭で学習した結果といえるかもしれません。

 体づくりのために食べることに一生懸命だった選手には、味という強烈な情報がしみついているはずです。私は若い選手にプロテインを飲ませる時、飲み終わったら「うまい」と声を出すように指導します。笑い話のようですが、これだけでプロテインの体内での利用効率は変わると言われています。つまり身体にとって有難いものなのだと脳に言い聞かせるのです。

 当然、その逆もあって、プロテインをしかめっ面で飲んだ場合は、体内での利用効率は下がってしまいます。味覚は相対的なものであり、DNAに密接な情報であり、また美味しいと感じるのは脳であるということを、アスリート達は本能的に上手に活用できているのかもしれません。

 ちなみに私と親交のあるアスリートの中では、タニマチが圧倒的に多く、巡業や興行のたびに美味しいお店に行っているので、グルメ№1は武藤敬司さんでしょう。美味しいお店を見つけたら、少し脳の準備をしてその美味しさを倍増させてみてください。

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この記事を作った人

文/桑原 弘樹

大手メーカ-で16年以上スポーツサプリメントを企画・開発。桑原塾を主宰。NESTA JAPANのPDA 。Tarzan等各誌での企画監修、著書「サプリメントまるわかり大事典」「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」等

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