輝く新世代の女性シェフにインタビュー|【Vir tus】神﨑千帆さん
男性たちが中心の飲食業界で繊細な感性で活躍する“女性シェフ”に注目。彼女たちの料理にかける思いやストーリーをご紹介します。今回は、フランス料理を提供するフランス【Vir tus】、そこで独創的な料理をつくり出すシェフ、神﨑千帆さんをご紹介します。
フランス史上初、ミシュラン1つ星を獲得した日本人女性シェフ
2019年は神﨑千帆さんにとって忘れられない年だ。ミシュラン仏版で、シェフを務める【ヴィルチュス】が初の1つ星を獲得。師マウロ・コラグレコさん率いる地中海沿いの【ミラズール】は3つ星に輝いたからだ。
常連も多く45席が毎日ほぼ満席。
「彼は私を認めてくれた初めてのシェフ。応えたいという思いで必死でした」と振り返る。2度目の渡仏で1つ星として頭をもたげたばかりの【ミラズール】へ。アルゼンチン人のコラグレコさんは、国籍も性も関係なく仕事そのものを認めてくれた。千帆さんの父親は精肉店で、子どもの頃から料理人になることが夢。離婚して4人の子どもを女手一つで育て上げた母親の姿を見て備わった生き抜く根性は厨房でも伝わっただろう。全部門を経験し、スーシェフにまで上り詰めた。公私ともにパートナーの、製菓専門のディ・ジャコモさんともこの店で出会った。
『ホタテとハヤトウリのサラダ風』。ハヤトウリはタリアッテレ状に切りそろえ、マンダリンオレンジ、アイスプラントとあえる。オレンジとオリーブオイルのシンプルなドレッシング、からすみを振りかけて。
「マウロに学んだのは、素材を生かす哲学。例えば、塩はゲランド産粗塩を乾かしたものを使いますが、旨みが凝縮していて、これに勝るものはありません」。【ヴィルチュス】では、率直に言い合えるディ・ジャコモさんとの二人三脚。地中海の太陽を感じさせる、鮮烈さと優しさ溢れる料理で、素材の表情を浮かび上がらせる腕には定評がある。常連も多く45席が毎日ほぼ満席だ。
一匹から切り出したアンコウのフィレ。エシャロットで炒めてクリームを絡めたフダンソウと芽キャベツを添えて。パセリと魚のフュメのエマルジョンと。
将来的な出産との両立にも悩み、「男性も出産できたら、男女差はないのに」とも。その素直な語り口には、女性としてのステージにもまい進する強さが満ちている。
この記事を作った人
撮影/吉田タイスケ 取材・文/伊藤 文
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