ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2021.12.23食トレンド

週に一度は通いたい“ヤミツキ”カルボナーラの専門店!|【HASEGAWA(ハセガワ)】神楽坂・飯田橋

神楽坂の脇に入った少し大人っぽい通り・見番横丁の、それも地下。さらに看板も大きくないにもかかわらず、その「専門店」の味を求めて多くの人が訪れる。【カルボナーラ専門店 HASEGAWA(ハセガワ)】だ。

HASEGAWAのカルボナーラ

好きが転じて開いた“カルボナーラの専門店”

この店でみんなが頼むのが、カルボナーラ。
「イタリア料理好きの母がよく家でパスタを作ってくれたり、店に食べに行ったりしていたんです」。と語るのは、オーナーシェフの長谷川浩平さん。 

中でもカルボナーラが好きでよく食べていて。飲食店で働くようになって知ったのが、生クリームを使わないローマ式のカルボナーラだったという。

    店主の長谷川浩平さん

    カルボナーラへの愛情と可能性を語る長谷川さん。レシピだけでなく、店舗も増やすのが夢だとか

「その美味しさももちろんですが、カルボナーラと言ってもいろんな作り方があるということを知って。そこから、例えばトマトソースやジェノバソースといったものから、ゴマ油や豆板醤、山椒、カレーなんてものまで、いろんな調味料でも試作するようになったんです」。

今も試作を続けているという長谷川さんのレシピから、季節ものを含めて常時6〜7種類のカルボナーラが堪能できるのが同店なのだ。

コクがありながらも軽やかな後味

    パスタ,鍋

    1人前は約95g。大盛りだと130~140gに。ソースに負けず、かつ絡みのよい1.7ミリのスパゲッティーニを使用している

「スパゲッティは1.7ミリ。ひと皿分に卵は2個で、チーズはグラナパナーダを使っています。ベーコンは厚み1センチ、長さ3~4センチと少し大きめですね」。

これがベースとなるカルボナーラ。ごく普通にみえて、スパゲッティは表面がツルリとしつつもモチモチとしてソースとよく絡まるもの、質だけでなく色合いにもこだわった卵、ベーコンも特定の業者からのみ仕入れるなど、素材一つひとつに強いこだわりがある。

    HASEGAWAの内観

    地下の店で隠れ家めいているが、一部外光も入る設計になっており閉塞感を感じさせない。カウンターでひとりカルボナーラを楽しむ客も多い

そして「もうひとつ大切にしているのが、火の入れ方です。卵とグラナパダーノを混ぜ合わせた卵液を茹で上がったパスタとフライパンで和えるのですが、卵液をチーズを溶かしながら煮詰める感じで濃度を出しています。火が強いと炒り卵みたいになるし、弱いといつまでもシャバシャバのまま。フライパンを振った時のソースの揺れ具合やツヤを見て、判断しています」。

    カルボナーラの調理風景

    余分な水分を飛ばしながらパスタと絡めることで、生クリーム不使用ながらコクのある一品に仕上げている。細心の注意を払って火加減を見極める

まずは定番となるノーマルなカルボナーラを食べてみることに。
まずは粗挽き胡椒の鮮烈な香り。そして艶やかなソースから卵とチーズの風味がふわり。そこにベーコンの薫香が加わって、ただただ期待が高まるばかり。さっそくフォークにクルリと巻きつけて口に運べば、トロリとしたソースとしっかり絡んだスパゲッティはもちっとした弾力で、噛むほどにソースの味わいとセモリナ粉の風味が口いっぱいに広がっていく。

    フライパンで調理される香ばしいベーコン

    香ばしく焼かれたベーコンもパンチある塩味・旨みのアクセント

濃度がありつつもクドくないこのソースに一役買っているのが隠し味の和風出汁。鰹節と昆布から取る出汁を加えることで、旨みと深みを与えてもいるのだ。この完成度、週に一度は食べたい! とヤミツキになるおいしさなのだ。

山椒、レモン、トマト。広がるカルボナーラの可能性

    山椒のカルボナーラ

    『山椒のカルボナーラ』1,580円。旬に合わせて全国各地から仕入れる山椒を毎朝挽いて使用する。鮮烈な香りながら、辛味、刺激はおだやかで卵液によく合う

と、定番の味を堪能したところで、今度は長谷川さんが考え出したオリジナルのカルボナーラもいただいてみる。
胡椒の代わりに、香り豊な国産の山椒を振りかけた『山椒のカルボナーラ』は、ソースとの相性が良いばかりでなく、そのコクを軽やかな辛味と痺れで中和。イタリアンをほんのり和テイストにしている印象で、人気なのも大いに納得の味わいだ。

    レモンのカルボナーラ

    『レモンのカルボナーラ』1,680円。暑い日でも心地よくカルボナーラを食べてもらいたいと考えた逸品。国産レモンのおだやかな酸味が心地よい清涼感を生んでいる

続いて、この夏に生まれた、『レモンのカルボナーラ』をば。仕上げに国産レモンの果汁をたっぷり搾り入れるのだが、卵液とケンカするどころか見事に融合。コクがあるのにさっぱりで、こちらもいくらでも食べ続けられる、魔性の味。

    ジェノベーゼカルボナーラ

    『ジェノベーゼカルボナーラ』1,680円。バジル、松の実、ニンニク、粉チーズなどが入った定番の味。カルボナーラと出会うと、バジルの爽やかさ、卵液のコクを双方が引き出しあう印象。

最後にバジルベースのソースをかけた『ジェノベーゼカルボナーラ』。そのままパスタソースにしても美味しいジェノバソースが清々しい香りを、トッピングされたトマトが爽やかさをもたらす。それぞれの味で成立するカルボナーラとジェノバという足し算もあったのか! とその美味しさに驚かされる。

ここでふと思ったのが、ご飯とふりかけの関係。炊き立てのご飯にふりかけをササッとかければ、味わい香りが加わるだけでなく、ご飯の甘み、旨みが引き出される。ノーマルのカルボナーラを炊き立てのご飯に見立てれば、それらアレンジカルボナーラはおいしいふりかけで楽しんでいる感じなのだ。

「僕もそういうイメージで試作をしています。なので、キムチやコチュジャンを使った韓国風、クミンなどのスパイスを使ったインド風なんていうものもおいしく、味の広がりはまだまだあるんですよ」。

    自家製サングリア

    『自家製サングリア』650円。カルボナーラに合うお酒をと考案した自家製サングリアは白ワインベースのみ。白桃、キウイ、レモン、シナモンを漬け込んだ1杯で、酸味とほの甘さのバランスがよく、口の中をスッキリさせてくれる味わい

1年前まではランチのみの営業だったが、現在は夜の営業も行い、メインにカルボナーラを据え、前菜、カルボナーラ、ドルチェが選べるプリフィクスコースも用意している(3,380円)。もちろん、カルボナーラの単品でも大丈夫。

「おいしい」を目当てに足を運べば、カルボナーラの可能性をも感じずにはいられない店。それが『カルボナーラ専門店 ハセガワ』なのだ。

    店主の長谷川浩平さん

    長谷川浩平(はせがわこうへい)さん
    1993年、静岡県御前崎生まれ。高校を卒業後、一度は一般企業に就職。その後、地元のイタリアンレストランに転職。そこでローマ風のカルボナーラに出会う。いつかは自分の店をと思いながら様々なカルボナーラを試作。縁あって東京のイタリアンに勤務し、一昨年、神楽坂に同店を出店。当初はランチ営業のみだったが、現在はディナーも行っている。

この記事を作った人

撮影/今井 裕治 取材・文/武内 しんじ(フリーライター) 構成/関口 潤(ヒトサラ編集部)

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(11/17~11/23)

エリアから探す