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更新日:2017.06.09食トレンド グルメラボ

スイーツにブータン料理に……いぶりがっこの進化が止まらない! そのポテンシャルの高さに迫る

独特の燻製香と食感で、県外でもファンが急増中の秋田県名物「いぶりがっこ」。美容効果が期待される上、料理に使うと旨みがアップ! さらに、秋田では今、いぶりがっこが驚きの変化を遂げています。もはやただの漬物の域を超えたいぶりがっこの進化と効用に迫ります!

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そもそもいぶりがっことは

    ポリポリした食感が特徴のいぶりがっこ

 秋田の言葉で「がっこ」とは漬物のことで、その名の通り燻(いぶ)した漬物になるわけですが、いぶりがっこといえば必然的に大根を使ったものを指すようです。
 昔は秋田でしか食べられていなかったものが、今では県外のスーパーなどでも見られるようになり、首都圏では飲食店のメニューにも登場しています。

「もんっのすご〜く手間がかかる」

    5日間ほど燻し続けられる

 だいたい一本500円程度で、他の沢庵などに比べて高い印象があります。ある時、秋田のいぶりがっこをつくる方に「高いんですね」と言うと、「だって、もんっのすご〜く手間がかかっていますから」と返ってきたのが印象的でした。そうです、いぶりがっこは予想を超える時間と手間がかかる伝統食品なのです。
 まず、囲炉裏がないとつくることができません。昔はどこの家でも囲炉裏があり、いぶりがっこを自家製していました。今では囲炉裏のある家も減り、いぶりがっこは専門店でつくられるものになりました。
 大根を燻すためにまず縄で編み込みます。よく、大小バラバラの大根が縄で一列に吊るされている写真が見られますが、これはまんべんなく燻すために太さが偏らないよう工夫した編み方なのです。

 次に燻製作業。ナラの木やサクラの木を使い、囲炉裏の上に吊るして5日間ほど燻し続けます。夜中でも火の状態を見る必要があり、また火加減は調整できないため、大根の位置を入れ替えて乾燥具合を調整します。秋田は晴天が少ないため、漬物に重要な「天日干し」ができずこの水抜き方法が編み出されたようです。燻製香も付くことで、大根の芯まで味が染み込む漬物に仕上がります。
 そうして燻した大根を今度は塩や米糠と合わせた糠床に漬け込み、50日ほどかけて発酵させます。そして眠りから覚めた大根を水洗いし、ようやく製品として出荷できる状態になるのです。
 ……と、ここまで聞いたら、一本500円でも安いかも、と納得してしまいますね。

いぶりがっこの効能

    グルタミン酸で旨みアップ効果も

 たかが漬物、されど漬物です。その健康効果はテレビやネットでも話題になっています。いぶりがっこに使われるのは米糠と塩。これらが発酵する際に乳酸菌を発生させ、ヨーグルトと同等の効能、つまり美肌と腸内環境の改善にをもたらすとされています。秋田に美人が多いのは、いぶりがっこ文化も一役買っているのではないでしょうか。

 とはいえ、いぶりがっこを地元でも食べない、買わないという人も増えているようです。そんな「がっこ離れ」を打開するため、秋田の漬物業界ではいぶりがっこを何かと合わせたり、料理に活用したりとさまざな食べ方の提案を行っています。
 そもそも、いぶりがっこは燻製することによってアミノ酸の一種であるグルタミン酸が発生し、料理の旨みをアップさせる効果が実証されているのです。
「いぶりがっことクリームチーズ」はかなり前から商品化もされていますが、最近ではポテトサラダに入れたり、パスタに使ったりといろいろなアレンジレシピも浸透しているようです。

進化するがっこ製品たち

 地元の漬物店や菓子店などもいぶりがっこを生かした商品を次々と開発しています。探してみたところ、想像を超える進化を遂げていました!

まずはいつでもどこでも「がっこ缶」

    いぶりがっこを旅先や職場でも……

 いくら保存食といえども、保存料などを使わないいぶりがっこの賞味期限は開封前で2ヶ月~1年ほど。いつでもどこでもどんな時にでも食べたい! という秋田県民にとって、長期保存可能な「缶詰」はありがたいですね。
『こまち食品工業』のいぶりがっこは、缶入りなので3年も保存可能、しかもスライスされているので、開けた瞬間に即食べられます。携帯にも便利なので、旅行や行楽のお供にも最適。お土産にしても喜ばれることでしょう。
 ちなみに同社はあきたこまちのおかゆ「こまちがゆ」の缶詰をはじめ、茶わんむし、秋田サラダ鶏など、ご当地感満載の缶詰商品を開発。災害時にこそ食べたいソウルフード、非常食として常備しておくのもオススメですね。

    こまち食品工業は比内地鶏を使った茶碗蒸しなども缶詰に

まさにいぶりがっこの奇跡! マドレーヌに…

    いわば「大人のマドレーヌ」!

 続いて、三吉フーズの「マドレーヌに、いぶりがっこをいれてみました」。まさにその名の通りです。実はこの商品こそ、筆者にいぶりがっこの可能性を教えてくれた奇跡の一品なのです。
 バターたっぷりのマドレーヌに刻んだいぶりがっこが入っています。しっとりした生地にカリッと小気味良い食感。小粒でもスモーキーな香りがふわっと広がり、重厚感がある味わいに。いぶりがっこが少量入っただけでこれほど風味が豊かになるとは、はっきり言って衝撃でした。
 トースターなどで軽く温めると、さらにバターと燻製の香りが際立ちます。これを誰かに贈ったら、いい意味でカルチャーショックを受けることでしょう。

三吉フーズ ☎018-874-8854

ブータンの食文化と融合「秋田風エゼ」

    大根の香りがアクセント。ピリ辛で後を引く味

 いぶりがっこが「エゼ」になりましたーと言っても何のことか分からないと思います。エゼとはブータンの伝統食で、唐辛子やトマト、タマネギなどでつくる薬味。現地ではモモにつけたり、ご飯のお供として食べられています。
 この「おらほの晩酌~秋田風エゼ~」は、秋田市の6次産業化事業「土産品開発プロジェクト」の一環として、国際教養大学と市内の企業ノリット・ジャポンが共同発売した商品です。
 学生がブータンにホームステイした時に「エゼ」に出会ったのがきっかけ。これをいぶりがっこでつくろうと、秋田の酒蔵の甘酒、鶏挽き肉とともに混ぜ、大人向けに激辛に仕上げました。
 シャキシャキした食感と燻製の香り、鶏の旨み、後から来る豆板醤の辛みがたまりません。

そして伊藤漬物も革命精神を炸裂させる!

    いぶりがっこ愛にあふれる商品がぞくぞくと……

 と、まだまだ書ききれないほどのいぶりがっこ製品やレシピなどもあるのですが、やはり一度食べてみないとそのポテンシャルの高さは伝わらないと思います。紹介した商品はお取り寄せが可能なので、ぜひ一度味わってみてください。自分でもいろいろな料理に活かしてみるのもオススメです。

この記事を作った人

取材・文/猫田しげる(フリーライター)

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