いよいよ解禁! 韓国でズワイガニを食べるために絶対行くべき3漁港
韓国におけるズワイガニの解禁日は11月1日。この日から一斉に漁が始まり、その数日後から市場へと出回ります。韓国でズワイガニを食べるなら東海岸沿いの蔚珍(ウルチン)、盈徳(ヨンドク)、浦項(ポハン)の3地域が有名。それぞれ異なる持ち味にもご注目ください。
かつては王様にも献上された
韓国・東海岸のズワイガニを味わう
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韓国のズワイガニ漁は11月1日から5月31日まで
とれたズワイガニは東海岸の各漁港にて水揚げされる
食べ方としてはシンプルなスチームがもっとも一般的
旬のズワイガニを目掛けて
蒸しあがったズワイガニは店の人がハサミで解体する
韓国で11月の声を聞くと、どうにもそわそわと出かけたくなるのが東海岸に面した蔚珍(ウルチン)、盈徳(ヨンドク)、浦項(ポハン)という3地域です。いずれも東海岸を代表する四季折々の魚介に恵まれた港町。そんな中でも11月が特別な意味を持っているのは、11月1日がズワイガニの解禁日だからです(2019年5月31日まで)。
ズワイガニはオスのみを食用として、メスは通年で禁漁
韓国ではズワイガニの大半を上記3地域で水揚げします。韓国語ではズワイガニをテゲ(直訳では竹ガニ)と呼びますが、それぞれの地名を冠して蔚珍テゲ、盈徳テゲ、浦項テゲとも。漁場はほぼ同じなので、どこの港で水揚げされるかの違いだけですが、それでも地元の人にしてみれば「ウチのズワイガニがいちばん!」という誇りが込められた名称です。
厚浦港の専門店にてズワイガニ(右)とベニズワイガニ
とはいえ食べ手の側から比較してみると、それでもそれぞれの「いちばん」には微妙な違いがある様子。まずもっとも北の蔚珍では、厚浦(フポ)港の一帯にズワイガニの専門店が集まっており、他地域よりもリーズナブルな価格で食べられるのを自慢としています。蔚珍はホンゲと呼ばれるベニズワイガニの名産地でもあるため、これをズワイガニと組み合わせた各1匹ずつを、スチームにして8万ウォン(約8000円)前後を相場とします。
専門店では副菜、鍋、甲羅の炒めごはんがセットになる
対して盈徳、浦項を含む他地域での相場は、ズワイガニ1匹あたり6~20万ウォン(約6000~2万円)とかなりの幅があります。総じてシーズンの始まりである11月頃は値段が落ち着いており、需要の高まる新正月、旧正月、お祭り期間(2~3月頃)あたりにピークを迎えます。贅沢をするならキリはないですが、もっとも高い時期を外して1匹6~8万ウォンほどのサイズをひとりで食べるか、10~12万ウォン前後のやや大きめサイズを2人でシェアするかが標準的なところ。値段に対するボリュームを考えるならベニズワイガニや、ロシアなどからの輸入物と組み合わせる選択肢もあります。
店頭でもうもうと湯気を立てながらスチームしている
蔚珍から南へ下ると盈徳。江口(カング)港に専門店が集まっています。盈徳のズワイガニは3地域の中でもっともブランド価値が高く、古くは王様への進上品としても活躍しました。いまでも1匹20万ウォンの値段をつける最高級品は盈徳に集まることが多いのだとか。もし最高級を求める場合は、サイズの立派なものの中でも身のしっかり詰まった「パクタルテゲ」(パクタルはオノオレカンバという堅い木の名前)と、鮮度のよいカニミソを象徴する「ファンジャン」(黄腸)という単語を覚えておくとよいでしょう。
盈徳テゲのタグ。赤だけでなく白いタグの場合もある
そしてもうひとつ。ブランドの盈徳テゲを食べるのであれば、それを証明するタグの存在も頭に入れておくのがいいですね。地元の事情通な人たちであれば、あえてタグのない盈徳テゲ(足が1本ないとか)を安価に食べたりもするのですが、観光客の立場ではその真贋を見極めるのは難しいところ。妙にお得な値付けにはくれぐれも注意しましょう。
巨大な看板を掲げる浦項・九龍浦のズワイガニ専門店
盈徳からさらに南へ下ると浦項。3地域の中でもっとも観光客にとってアクセスがよいのが浦項です。ソウルから高速鉄道のKTXに乗って約2時間半。観光地として有名な慶州(キョンジュ)の隣町でもありますので、そこから足を伸ばすのもおすすめです。
浦項の竹島市場。ズワイガニ、ベニズワイガニが並ぶ
浦項でズワイガニを食べる場合は、市中心部の竹島市場(チュクトシジャン)が便利。港町ならではの雰囲気を楽しめますし、巨大ないけすを店頭にあつらえた専門店もずらりと並んでいます。
漁港ならではの豪快な盛り付けで登場したズワイガニ
あるいはもっと本格的に味わうなら、市内から車で3~40分ほど離れた九龍浦(クリョンポ)港まで足を伸ばすのもいいですね。東海岸沿いにある各漁港の中で、もっとも水揚げの多いのが九龍浦です。ズワイガニの産地としては蔚珍、盈徳に比べて新興なので、ブランド価値はそこまで高くありませんが、価格と味のバランスもっともよいと評判です。
カニミソとごはんを炒めた風味豊かな『ポックムパプ』
価格の蔚珍、ブランドの盈徳、漁獲量の浦項というのが地域ごとの特徴ですが、実際の食べ方はどこも大差ありません。いけすのズワイガニを予算と相談しながら選び、それをスチームしてもらうだけ。特徴的なのは甲羅に入ったカニミソを、『ポックムパプ』(炒めごはん)にするサービスがあるので、それを頼むかどうかぐらいでしょう。『ポックムパプ』にほんの少しゴマ油を足して韓国風に楽しむのもよし。『ポックムパプ』を断って、カニミソをちびちび舐めながら酒の肴にするのもよしです。ぜひ、どの港町を訪ねるか思案のうえ、韓国の東海岸が誇る冬の味覚を満喫してください。
【ペガムテゲマート(백암대게마트)】
電話:+82-54-788-3110
住所:慶尚北道蔚珍郡厚浦面東海大路264
住所:경상북도 울진군 후포면 동해대로 264
【サゲジョルテゲ直販場(사계절대게직판장)】
電話:+82-54-734-2777
住所:慶尚北道盈徳郡江口面江口テゲキル52
住所:경상북도 영덕군 강구면 강구대게길 52
【ヘヤンフェテゲセンター(해양회대게센타)】
電話:+82-54-255-2255
住所:慶尚北道浦項市北区竹島市場キル32
住所:경상북도 포항시 북구 죽도시장길 32
【鏡浦テゲフェセンター(경포회대게센타)】
電話:+82-54-276-6999
住所:慶尚北道浦項市南区九龍浦邑虎尾路284
住所:경상북도 포항시 남구 구룡포읍 호미로 284
八田靖史(フリーライター)
慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「イラストでわかる はじめてのハングル」(高橋書店)。WEBサイト「韓食生活」を運営。
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