更新日:2017.02.27グルメラボ
お金と食の関係。本当に豊かな食生活とはどんなものなのか
「豊かな国」と言われるための大きな目安のひとつが食生活の豊かさです。当然ながら、世界各国の食生活と豊かさの関係について様々な調査がなされています。今回はそれらの調査の結果と日本の順位について、いくつかご紹介します。
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こんなに差がある、食費の高い国と安い国
エンゲル係数が語る、暮らしの豊かな国とは
総合的な食事情統計が示す、意外な結果
食費の高い国と安い国。日本の食費はどのくらいなのか
2013年、アメリカのTIME誌が世界各地の食料と食費を比較した写真記事を掲載して大きな話題を呼びました。記事では世界の25の各地域から、平均的な家族の1週間の食事と食費を写真付きで掲載しています。
あくまで特定の家族の特定の一週間を調査したものですから、必ずしも正確な比較とは言えませんが、世界の国々のおおよその暮らしぶりが伺える点で興味深いものでした。
それによると、1週間の食費が最も高かったのはドイツの一家で約5万円強。2位以下も西欧の国が上位を占める中、日本の小平市の家族が約3万1千円で7位に入っています。最下位はチャドの家族で、約120円でした。
勿論、食費の高さ(安さ)が即暮らしの豊かさを示す訳ではありませんが、一般に先進国ほど食費が高くなる事は確かなようです。
エンゲル係数が語る各国の豊かさ
食費と暮らしの豊かさを関連付ける指標のひとつに、「エンゲル係数」があります。これは家計の支出に占める飲食費の割合を示した数字で、数値が高くなるほど生活に余裕がない(=豊かとは言えない)状態と言われています。
2011年のOECD(経済協力開発機構)のデータベースを元に、世界30カ国のエンゲル係数を比較すると、最も数値の低い国はアメリカで15.2、最下位はエストニアの34.7でした。日本は23.6で30国中14位という結果になっています。
更に気になるのは、今年(2016年)に入って日本のエンゲル係数が急上昇していること。2014年の消費税8%導入以降、徐々に上昇傾向にはあったのですが、ここに来ての急上昇は増税後の家計の努力が限界に来ている証拠と分析する識者もいます。
世界の食事情を総合的に調査した結果、ランキングは意外な順位に
2014年にNPO団体オックスファムが「世界の食事情」ランキングを発表しました。これは「食料の供給量」「食の物価」「食料の品質」「食に関する病気や疾患率」という4つの観点から125の国を評価して順位付けをしたもので、どこの国が総合的に“食”に恵まれているかを調査した順位といえます。
1位に輝いたのはオランダ。首位に選ばれた理由は、食べ物の安さ、糖尿病患者の少なさ、そして栄養のバランスが他の国より平均的に優れていたからだそう。最下位はチャド。食べ物の栄養素が低く、衛生的にも問題があるにも関わらず、食料の物価は高い為、子供達の1/3が平均体重を切ってしまっているそうです。
他にも、石油マネーで潤う産油国は飛びぬけて肥満が多いなど、各国それぞれの食事情が見られて興味深いものとなっております。
気になる日本の順位はアメリカと同率の21位。ちなみに、アメリカは肥満率の高さ、日本は物価の高さ等が問題になって、上位にランクされなかったようです。
豊かさと食の関係を表す指標は、多種多様です。ひとつの結果に一喜一憂する必要はないと思いますが、残念ながら日本は食に関しては先進国中で「豊かだ」と胸を張るのは難しくなって来ているのかも知れません。
斎藤 健(フリーライター)
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