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更新日:2017.09.02連載

ダースレイダーの「カレー」ビガッ! 第1回 ~酸いも甘いも辛いで覆う~

ラッパーであり、ファンクバンド「THE BASSONS(ベーソンズ)」のボーカルとしても活躍するダースレイダーさん。大のカレー好きである彼が、様々な角度からカレーの魅力を追求する新連載。第1回目は、「ひとりカレーの極意」について語ってくれました。

ダースレイダーの「カレー」ビガッ! 第1回 ~酸いも甘いも辛いで覆う~

ダースレイダー

  • ヒップホップ界随一のカレー好きラッパー。多い時は年間250皿ほどのカレーを食べていたこともある。2010年、脳梗塞で倒れ左目を失明。以来、医者の指示による食事制限のため以前程の量は食べていないが、それでも変わらぬカレー愛で、その魅力を探求し続けている。

 はじめまして! ダースレイダーまたの名を片目のダースの叔父貴です。カレー、好きです。カレーに対するスタンスは「カレーに貴賤なし」。つまり、カレーというスタイルを身にまとうあらゆるものにまずはリスペクト! です。

カレーの楽しみ方にはいろいろあります。今日、提案したいのは「ひとりカレー」。カレー屋で黙々とカレーを食べる男の背中。これは世の男性がもっとも高倉健に近づける時でもあると言えるくらい渋いです。女性の場合はどうでしょう? 往時の梶芽衣子ばりの格好良さと色気が背中から発せられること間違いありません。

今回はそんなひとりカレーを堪能するのに最適なお店を紹介しましょう。

ダースレイダー流「ひとりカレーの極意」三箇条

其の一. 会話はせず只々、カレーの味を噛みしめよ

【デリー】/湯島

    多くのカレーファンに影響を与え続けてきた、創業60年の名店

    多くのカレーファンに影響を与え続けてきた、創業60年の名店

 湯島の【デリー】。日本のカレーの源流とも言える名店です。中でも辛さが稲妻のように脳を駆け抜け、記憶力が20%増し、計算能力が30%増し、人の名前が4人多く覚えられる(※全てダースレイダー調べ)効果があると思うしかない漆黒の天国、『カシミールカレー』は食べるたびに新たな発見がある絶品です。

    刺激的なスパイスが尾を引く、中毒性のある『カシミールカレー』1,000円(税込)は【デリー】の代名詞とも言える一皿

    刺激的なスパイスが尾を引く、中毒性のある『カシミールカレー』1,000円(税込)は【デリー】の代名詞とも言える一皿

カレーの中に浸っている、チキンとジャガイモの歯ざわりとカレーの辛みの絡みに、食べる意味が全てあるとも言えます。『タマネギのアチャール』も相性抜群です。サイドメニューのこれまた味わい深い『タンドーリ チキンティカ』で更にチキンの量を増やしてもあら不思議……ペロリと食べられます。こんな体験をみなで共有など勿体ない! これは独善的にひとりで全て吸引して残さず体内に取り込んで人としてパワーアップすべし!

    左上から、付け合わせの『キュウリのピクルス』と『タマネギのアチャール』、下がサイドメニューの『タンドーリ チキンティカ』800円(税込)

    左上から、付け合わせの『キュウリのピクルス』と『タマネギのアチャール』、下がサイドメニューの『タンドーリ チキンティカ』800円(税込)

「ひとりカレーの極意」其の一. 会話はせず只々、カレーの味を噛みしめよ

ひとりで行く事により100%カレーにフォーカス出来ます! 会話など必要ない。ただ、口に運び、体内に広がる幸せを噛みしめる。人生の中でそんな過ごし方が出来る時間がどれだけあるでしょうか? カレー集中力を最大限に上げることで……スパイス一粒の効果までが体内に刷り込まれるのです。デリーの味を100%取り込んでおけば、今後少々の刺激には動じない泰然自若人生が待っています!

【デリー 上野店】

電話:03-3831-7311
住所:東京都文京区湯島3-42-2
アクセス:銀座線「上野広小路」駅から徒歩2分、千代田線「湯島駅」から徒歩4分、JR「御徒町」駅から徒歩7分
営業時間:11:50~21:30(L.O.)
定休日:無休

其の二. 黙して語らず、マスターには目配せで「美味しい」と伝えよ

【リッチなカレーの店 アサノ】/町田

    商店街から一歩入った、まるで別世界のような路地裏に佇む“リッチなカレーの店”

    商店街から一歩入った、まるで別世界のような路地裏に佇む“リッチなカレーの店”

 続いては町田の【リッチなカレーの店 アサノ】を紹介します。都内にカツカレーを出す店は多いですが、間違いなくトップ3の座に輝く“カツ”べくして生まれたカレー店です。駅前商店街から一歩路地に入ると急に時空が歪み空気内スパイス含有量が増え(たように確かに僕は感じます)、誘われている感覚に襲われます。

    カツはサクサクで香ばしく、肉は柔らか、スパイスも程よく食欲を増す、味も見た目も“リッチ”な『カツカレー』1,450円(税込)

    カツはサクサクで香ばしく、肉は柔らか、スパイスも程よく食欲を増す、味も見た目も“リッチ”な『カツカレー』1,450円(税込)

水分量の多いルーは程よくご飯と馴染み、さくっと揚がったカツを見事にサポートします。店長が熟練の腕でカツを揚げてカレーを盛り付ける。美味しいので僕もついつい友人を誘ってしまうのですが一気には座れません。ひとりで自身に“カツ”を入れつつ、友人、知人にもひとりで行くように勧めれば、その後会ったときにアサノ話できっと盛り上がれると思います!

    カウンター7席のみの店に、連日行列ができる

    カウンター7席のみの店に、連日行列ができる

「ひとりカレーの極意」其の二. 黙して語らず、マスターには目配せで「美味しい」と伝えよ

名店にはみんなが行きたい! でもこだわりのカレー屋はマスターが一人で切り盛りしている事が多い。マスターの美味しいカレー作りへの全力投球をひとりで見守りましょう。なんならアイコンタクトで「最高に美味しかったです!」と伝えるスキルも身に着けたいところです。

【リッチなカレーの店 アサノ】

電話:042-729-7258
住所:東京都町田市原町田4-5-19
アクセス:JR「町田」駅から徒歩3分、小田急「町田」駅から徒歩6分
営業時間:11:30~14:00(L.O.)、17:00~20:00(売り切れ終了)
定休日:水曜、第2・3木曜

其の三. 空間全てを五感で感じよ

【ムーンボウ】/南新宿

    南新宿駅の改札を右に出た脇道を通り、高架下をくぐるとマンションの1階に現れる【ムーンボウ】

    南新宿駅の改札を右に出た脇道を通り、高架下をくぐるとマンションの1階に現れる【ムーンボウ】

 もう一件、南新宿の【ムーンボウ】を紹介しましょう。南新宿駅徒歩0分。それでもこの店はなかなか見つからないのです。夜はバー営業しているのですがオープン時間は店長の気まぐれに依るとの噂もあります。昼も閉まっていることが多い。営業していないのか? と言うとそうではなくて、一日用意した分のカレーが売り切れると早々に閉めてしまうのです。下手したら12時に開いて12時40分には終わります。

    日替わりのカレーは、月・火が写真の『チキンカレー』、水・木が『茄子と挽き肉カレー』、金が『ほうれん草カレー』、全てアイスチャイ付きで各800円(税込)

    日替わりのカレーは、月・火が写真の『チキンカレー』、水・木が『茄子と挽き肉カレー』、金が『ほうれん草カレー』、全てアイスチャイ付きで各800円(税込)

カレーは日替わりで一種類のみ。全部美味しいのですが、この店の素晴らしさが凝縮しているのは『チキンカレー』です。鶏肉はある種の淡泊さがあり、その分色々な味が「乗る」のですが、もう「乗りまくり」です。店内には店長のコレクションの往年のロックなどのクラシックCDが並び、ラジオも昔の録音が流れていたりします。そのビートが。そのロックが。チキンに「乗る」のです。

    70年代のロックを中心にCDが並ぶ棚には、マスターの趣味が所狭しと詰め込まれている

    70年代のロックを中心にCDが並ぶ棚には、マスターの趣味が所狭しと詰め込まれている

「ひとりカレー」の極意、其の三. 空間全てを五感で感じよ

ひとりで行けば、店で流れる音楽やラジオに完全に身を任せることが出来ます。店の世界観に全身で浸りきり、その中で味わうカレーこそが真実の味と言えます。時の流れよりもルーの流れ!

【ムーンボウ】

電話:03-3299-5031
住所:東京都渋谷区代々木2-30-4
アクセス:小田急「南新宿」駅から38m、JR「代々木」駅から徒歩6分
営業時間:11:30~14:00(売切れ閉店)、22:00頃~翌1:00頃(金・土は、21:00頃~翌2:00頃)
定休日:土曜のランチ、日曜

~まとめ~

 さあ、「ひとりカレー」いかがだったでしょうか? カレーを食べるあなたの背中を見たら、それはもう人生の達人、ここにあり! と思うに違いありません。自分という個人のポテンシャルを見つめ直し、100%発揮する機会を与えてくれるのが「ひとりカレー」。酸いも甘いも辛いで覆う。そんな名店を3軒紹介しました!

 知れば知る程奥深いカレーの魅力。そもそもカレーとはなんなのか? 日本で御馴染みのカレーライス、欧風、和風、創作……。オリジナルはインド? ナンで食べる? ロティは? じゃあスープカレーは? あ、タイ・カレーは? ウチで作ってもらってたカレーはどこに属するの? どこからどこまでがカレーなの? さあ、始まってしまいました。これがカレーの世界の入り口です。この果てしなく広がるカレー界を様々な視点で彷徨いながら考察していくこの連載。また次回、お会いしましょう。

『ダースレイダーの「カレー」ビガッ!』
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活動情報

ダースレイダーさんが率いるファンクバンド「THE BASSONS(ベーソンズ)」のオフィシャルページ

LIVE情報

「ベーソンズpresents カッコイイ音楽が聴ける日」
出演:ベーソンズ/曽我部恵一
2017年11月7日(金)@新代田FEVER
OPEN 19:00/START 19:30

この記事を作った人

文/ダースレイダー

ヒップホップ界随一のカレー好きラッパー。多い時は年間250皿ほどのカレーを食べていたこともある。2010年、脳梗塞で倒れ左目を失明。以来、医者の指示による食事制限のため以前程の量は食べていないが、それでも変わらぬカレー愛で、その魅力を探求し続けている。

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