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更新日:2026.04.27食トレンド

骨董通りの隠れ家【東京十月】。アートが溶け合う美空間で、五感を呼び覚ます創作和食を堪能|東京・南青山

表参道駅から徒歩4分、おしゃれなショップやギャラリーが立ち並ぶ骨董通り沿いにある「小笠原会館」地下に突如として現れる、洗練された和の空間があります。その名は【東京十月】。ここは、季節の移ろいを慈しむ日本文化と、現代アートの感性が響き合う特別な場所。今回は、感度の高い大人たちが夜な夜な集うこの隠れ家で、一番人気の「東京十月コース」を実食。アスティエ・ド・ヴィラットの器に彩られた、美しき和の料理をレポートします。

東京十月

デザイン会社がプロデュース。南青山の地下に広がる“食のギャラリー”

    東京十月の内観

    黒と朱色を基調とした静謐な空間。地下に降りた瞬間に都会のノイズが消え、非日常へと誘われます

表参道駅から骨董通りを歩き、小原流会館の地下へ。階段を下りた先に現れるのが、隠れ家的和食レストラン【東京十月】です。

一歩足を踏み入れると、そこには和食店という言葉では括りきれない、洗練された空間が広がっています。それもそのはず、ここはウィンドウディスプレイや空間制作を手掛けるクリエイティブ企業が運営する場所。店内には彫刻家アンテ・ヴォジュノヴィック氏のアートテーブルが配され、壁面には絵画や書物が並びます。時にファッションショーの会場にもなるという空間は、まさに“食のギャラリー”。アパレルの街・南青山にふさわしい、凛とした空気が流れています。

  • テーブル中央には美しい波紋を立てながら水が流れる演出も。フィラメントの灯りも幻想的<br />

    テーブル中央には美しい波紋を立てながら水が流れる演出も。フィラメントの灯りも幻想的

  • アスティエ・ド・ヴィラットの純白の陶器に盛り付けられ、まるで絵画を見ているかのよう

    アスティエ・ド・ヴィラットの純白の陶器に盛り付けられ、まるで絵画を見ているかのよう

特に注目すべき点は、ゲストを迎える器の美しさです。パリの職人による手づくりで知られる「アスティエ・ド・ヴィラット」の陶器をメインに使用。なかでも、小津安二郎監督が描いた”晩酌文化”に共鳴して誕生したという「バンシャク・コレクション」は、和食とフランスの美意識が交差するこの店を象徴するアイテムです。

素材の息吹を「器」というキャンバスに描く、唯一無二の懐石

    生産者=つくり手の想いまでを表現し、つくられる料理

    生産者=つくり手の想いまでを表現し、つくられる料理

    料理長が厳選した季節の日本酒をラインアップ<br />

    料理長が厳選した季節の日本酒をラインアップ

空間のインパクトに負けないのが、料理のクオリティです。茶懐石の精神をベースにしながらも、自由な発想で仕立てられる創作和食は、まさに“大人のご馳走”。厳選されたアルゼンチンのオーガニックワインや、全国の酒蔵から届く希少な日本酒とのペアリングも提案してくださいます。日本文化の「粋」を、肩肘張らずにカジュアルに楽しめるのが【東京十月】流のスタイルです。

今回は、店名を冠した一番人気の「東京十月コース」(9,900円)をいただくことに。旬の食材を贅沢に盛り込み、一皿ごとに季節の訪れを教えてくれます。

「先付」

    コースの始まりを告げるのは、春の山菜うるいと蟹の先付。まろやかな酢味噌が素材の甘みを引き立てる、春の芽吹きを五感で堪能する一皿です。

    コースの始まりを告げるのは、春の山菜うるいと蟹の先付。まろやかな酢味噌が素材の甘みを引き立てる、春の芽吹きを五感で堪能する一皿です。

「前菜」

    合鴨のロース、艶やかな海老、ふんわりとした湯葉に、春色のグリーンピースを添えて。少しずつ、多彩な味覚を愉しめる前菜は、まさに“食のギャラリー”の序章です。

    合鴨のロース、艶やかな海老、ふんわりとした湯葉に、春色のグリーンピースを添えて。少しずつ、多彩な味覚を愉しめる前菜は、まさに“食のギャラリー”の序章です。

「椀物」

    朱塗りのお椀の中に広がるのは、蛤の旨みが凝縮されたおだし。若布真薯(わかめしんじょ)の柔らかな食感と、蛤の弾力が重層的な味わいをつくり出しています。

    朱塗りのお椀の中に広がるのは、蛤の旨みが凝縮されたおだし。若布真薯(わかめしんじょ)の柔らかな食感と、蛤の弾力が重層的な味わいをつくり出しています。

「向付」

    新鮮な鯛を、和の造りではなくあえてマリネ風に。ほんのり酸味のあるソースが、鯛の甘みをモダンに昇華させています。

    新鮮な鯛を、和の造りではなくあえてマリネ風に。ほんのり酸味のあるソースが、鯛の甘みをモダンに昇華させています。

「焼物」

    絶妙な火入れでふっくらと焼き上げられた金目鯛。その上には、細かく叩かれた木の芽がたっぷりとあしらわれています。口に運んだ瞬間に広がる山椒の爽やかな香りが、金目鯛の濃厚な甘みを品よく引き立て、後味を軽やかに。

    絶妙な火入れでふっくらと焼き上げられた金目鯛。その上には、細かく叩かれた木の芽がたっぷりとあしらわれています。口に運んだ瞬間に広がる山椒の爽やかな香りが、金目鯛の濃厚な甘みを品よく引き立て、後味を軽やかに。

「蒸物」

    春から初夏への移ろいを感じさせる、冷製の茶碗蒸し。アサリのエキスが凝縮された餡が、プルンと滑らかな卵と絡み合います。シャキシャキとした水菜のお浸しが、清涼感ある余韻を残します。

    春から初夏への移ろいを感じさせる、冷製の茶碗蒸し。アサリのエキスが凝縮された餡が、プルンと滑らかな卵と絡み合います。シャキシャキとした水菜のお浸しが、清涼感ある余韻を残します。

「強肴」

    低温でじっくりと火を入れ、旨みを閉じ込めた山形牛。アスティエのプレートに盛り付けられた姿は、まるで現代アートのようです。柔らかな肉質と、噛むほどに溢れる赤身の濃い味わいは、まさにコースのハイライト。

    低温でじっくりと火を入れ、旨みを閉じ込めた山形牛。アスティエのプレートに盛り付けられた姿は、まるで現代アートのようです。柔らかな肉質と、噛むほどに溢れる赤身の濃い味わいは、まさにコースのハイライト。

「食事」

    締めは、職人の技が光る手打ち蕎麦。細めに打たれた蕎麦は香りが高く、キリッとしたつゆが口内を清めてくれます。懐石の最後に蕎麦を啜るという、粋な演出に心が解けます。

    締めは、職人の技が光る手打ち蕎麦。細めに打たれた蕎麦は香りが高く、キリッとしたつゆが口内を清めてくれます。懐石の最後に蕎麦を啜るという、粋な演出に心が解けます。

「甘味」

    最後は、旬のフルーツで瑞々しく。余計な甘味を加えず、果実そのものの酸味と甘みで締めくくる構成に、最後まで素材への敬意を感じました。

    最後は、旬のフルーツで瑞々しく。余計な甘味を加えず、果実そのものの酸味と甘みで締めくくる構成に、最後まで素材への敬意を感じました。

「東京十月コース」で特に印象的だったのは、春の芽吹きを感じさせる山菜や旬の魚介の扱い。アスティエの器をキャンバスに、色彩豊かな食材が配置される様子は、食べるのが惜しくなるほどのアートワークです。伝統的な技法を大切にしながらも、現代的な感性が光るコースは、一皿ごとに新しい発見がありました。

茶懐石からヴィーガンまで、あらゆるゲストを迎え入れる多彩なコース展開

    訪日ゲストにも人気の「料理長特選 禅 -ZEN - 茶懐石コース」。店主自らが点てるお茶とともに、日本文化の真髄に触れる体験が叶う

    訪日ゲストにも人気の「料理長特選 禅 -ZEN - 茶懐石コース」。店主自らが点てるお茶とともに、日本文化の真髄に触れる体験が叶う

【東京十月】のさらなる魅力は、ゲストの多様なニーズに応えるコースのラインアップです。店主自らが点てるお茶を愉しめる本格的な「茶懐石コース」や、動物性原材料を使用しない「精進料理(ヴィーガン対応可能)コース」、さらには重度の小麦アレルギーの方にも配慮した「グルテンフリーコース」まで完備。これらは、海外からのゲストや、健康を意識する現代人にとって、非常に心強い選択肢となっています。

  • 「精進料理(ヴィーガン対応可能)コース」

    「精進料理(ヴィーガン対応可能)コース」

  • 10食限定「晩酌セット(予約不要・19時までの入店限定)」

    10食限定「晩酌セット(予約不要・19時までの入店限定)」

おしゃれな空間で背筋を伸ばしてディナーを愉しむのはもちろん、仕事帰りにふらりと立ち寄り、10食限定の「晩酌セット」でしっぽりと大人の時間を過ごす――。そんな、日常と非日常を自在に行き来できる使い勝手の良さこそが、【東京十月】が愛される所以かもしれません。

南青山の地下で、あなたも五感を呼び覚ます新しい和食体験をしてみませんか。

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この記事を作った人

取材・文/嶋亜希子(ヒトサラ編集部)

東京・下町出身。アパレル業界を経て出版社へ。12年勤務し、編集長も務める。その後「ヒトサラ」で編集を担当し、現在はグルメ業界9年目。パンとフルーツが好きで日々の楽しみに。@papapa_paaan

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