【HAN COOK(ハンコック)】エビの醤油漬けからエゴマ料理まで、国内最先端を行く創意の韓国料理!
東京、阿佐ヶ谷の【HAN COOK】(ハンコック)は、他店とはひと味異なる特別な韓国料理を楽しめる店。本場で宮中料理の修行もした林三樹夫さんがオーナーシェフを務め、和の要素も取り入れつつ、創意あふれる韓国料理を提供する。韓国通ほどハマるともっぱらの評判。
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コンセプトに「韓食×和食」を掲げ日韓の食文化を融合
流行料理である海鮮の醤油漬けや丸鶏の鍋も洗練の味
韓国料理でよく使われるエゴマの特別コースも用意する
韓国好きは阿佐ヶ谷に集う
店の看板にも「韓食×和食」のコンセプトが掲げられる
東京、阿佐ヶ谷。ここ1年ほど、おすすめの韓国料理店を訪ねる人に、まず伝えるのがこの地名です。2016年10月にオープンした【HAN COOK】(ハンコック)は、ほかとは違うちょっと特別な韓国料理を楽しめる店として人気を集めています。JR阿佐ケ谷駅の北口から徒歩5分ほど。板張りの壁にすだれを配した古民家風の外観と、看板に書かれた「韓食×和食」の文字が、お店のコンセプトをよく表しています。
シェフの林三樹夫さん。韓国食材へのこだわりも強い
この店を開いたのがオーナーシェフの林三樹夫(はやしみきお)さん。韓国でもっとも権威のある宮中料理店「チファジャ」(日本でいう人間国宝の方が開いた店で、どんな料理関係者も一目置く存在)で修行をなさったほか、日本の有名韓国料理店でも料理長を歴任。輝かしいキャリアを経て、初めて持った自分の城がこちらの店です。家庭料理から郷土料理、宮中料理に至るまで、幅広い韓国料理に精通したうえでの和食とのコラボに大きな意味があります。
店内の様子。インテリアにも日韓の要素が混在している
メニューには韓国料理と日本料理が共存。と言ってもベースとなっているのは韓国料理で、それを気軽な感じの居酒屋風にも寄せつつ、日本酒や焼酎は日本各地の銘酒を用意、といったあたりが店の特徴になるでしょう。総席数27席と小構えながら、カウンター席もあるのでひとりでふらりと立ち寄ってもいいですし、12名程入れる奥座敷はわいわいやるのにぴったりです。
真鍮の器に盛った『キムチ・ナムル五種盛り合わせ』
まず出てきたのは、『キムチ・ナムル五種盛り合わせ』(980円)。写真の左上から右下に、『大豆モヤシのナムル』、『春キャベツのナムル』、『キュウリのキムチ』、『チンゲン菜花(チンゲンサイの菜花)のナムル』、『根三つ葉の味噌和え』といった面々です。素材は日によっても変わりますが、珍しい素材で目を引いたり、根三つ葉を韓国味噌のテンジャンで和えて家庭っぽさを演出するなど、仕掛けにあふれた前菜でした。
好評でレギュラーメニューとなった『レンコンチヂミ』
韓国料理の中でもチヂミは定番のひとつ。でも、こちらの『レンコンチヂミ』(1280円)は韓国でも珍しい部類に入るでしょう。チヂミにレンコンを使うこと自体が稀ですが、そのレンコンを粗く切っているのが何よりのポイント。サクサクとした食感が賑やかであり、生地にひそんだ海鮮、中でもイカのぷりぷり感とも面白い対比になっています。タレは使わず、韓国産の花塩が全体に振られています。
ぜひともマストで頼んで欲しい『醤油漬け盛り合わせ』
有頭海老(アカエビ)、ホタテ、つぶ貝の『醤油漬け盛り合わせ』(1280円、写真はエビ2尾、つぶ貝1個を追加で2480円)。いずれも生のまま漬け込んであるため、醤油によって引き立てられた素材の甘さがたまりません。ほかにも韓国で「カンジャンケジャン」と呼ばれる『渡り蟹の醤油漬け』(2980円~)や、「チョンボッチャン」と呼ばれる『アワビの醤油漬け』(1980円)も用意。盛り合わせの3種も単品注文(各480円)ができますので、好みのものをカスタマイズして盛り付けてもらってもよさそうです。
韓国語で「鶏1羽」という意味になる『タッカンマリ』
丸鶏を煮込んだ『タッカンマリ』(3480円、ハーフは1980円)は、店の看板メニュー。鶏1羽を丸ごと味わう豪快さもさることながら、白濁した濃厚なスープも格別の味わいです。
『タッカンマリ』に添える薬味も日韓両方の味を用意
そのまま食べてもいいですが、「タデギ」と呼ばれる唐辛子ペースト(写真右下)を加えると全体が引き締まります。塩を少量振ってもいいですし、あるいは和の方面に寄せて、赤・青唐辛子の柚子ごしょうも香りのよさを楽しめます。残ったスープには「カルクッス」と呼ばれる韓国式のうどんか、あるいは日本風の雑炊にもできます(各480円)。
福順都家ソンマッコリは強い発泡感も持ち味のひとつ
料理に合わせるお酒は、プレミアムマッコリの「福順都家ソンマッコリ」(ボトル3480円、グラス880円)を熱烈に推奨。韓国の南東部にある蔚山(ウルサン)という地域で造られており、地元でとれた米を原料に、ハンアリと呼ばれる甕で仕込む旧来の手法を守っています。賞味期限はわずか20日間。発酵を止めない生酒ですので、少しずつ酸味をおびますが、それがまた上質なコクにつながります。まだ、日本でも飲める店は限られているので、これも店を訪れるひとつの楽しみにしてみてください。
香ばしさにキノコのうま味も加えた『えごまパスタ』
メニューはアラカルトが中心ですが、韓国でよく使われるエゴマに特化した、「えごまのコース」(全7品5000円、2名以上で3日前まで要予約)も意欲的な試み。エゴマだけでコースに仕立てるアイデアも非凡ですが、そこにパスタが出てくるあたりもだいぶ型破りです。でも、その香ばしさと実のぷちぷち感はやみつき必至。そのうまさに唸るときこそ、林シェフの掲げる「韓食×和食」というコンセプトを真に実感する瞬間です。
【HAN COOK】
電話:03-6265-5990
住所:東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-27-7有隣ビル2階
アクセス:JR「阿佐ケ谷」駅北口より徒歩約5分
営業時間:18時~24時(日・祝は17時~23時)
定休日:月曜日、第2・4火曜日(営業することもあり)
八田靖史(フリーライター)
慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「イラストでわかる はじめてのハングル」(高橋書店)。WEBサイト「韓食生活」を運営。
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