良薬でも口に旨し? 実は『薬』だった食べ物たち
健康を維持するため時に私たちは苦い『薬』を飲まなければなりません。でも、どうせ口にするなら苦いものより美味しいものの方がいいというのが人情。「酒は百薬の長」ということわざがあるように、かつては『薬』とされていた食べ物がたくさんあることをご存知でしょうか。
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もともとは医療用麻薬だった『コーラ』
特許まで取得していた『ケチャップ』
特別な人しか飲むことができなかった『チョコレート』
戦争の悲劇から生み出されたコーラ
ジャンクフードのお供というイメージの方も多いかもしれませんが、実はコーラを一番初めに売り出したのは薬剤師だったことをご存知でしょうか。
南北戦争の時代、兵士の痛みを和らげるために用いられたモルヒネにより多くの中毒者が出てしまいました。当時モルヒネ中毒にはコカインが効果的と言われていたため、炭酸水を使ったコカインのシロップとして発売されたのがコーラの始まり。
コカイン自体の中毒性が問題視されてからは、カフェインで代用された現在の商品となっていますが、今日でも現行のコーラは消化器疾患の治療に効果があるとされ、一部の国では医師も勧めているというから驚きですね。
子どもから大人まで愛される、健康調味料のケチャップ
イタリアでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、トマトは体に良い食品とされています。その健康に効く成分を抽出したケチャップは、1830年代アメリカでトマトエキスの薬品として特許まで取得されていたのだとか。
抗酸化作用を持つリコピンや豊富なビタミンはもちろんですが、グルタミン酸などの旨味成分のおかげで減塩調味料としても活躍しています。またリコピンは油と一緒に摂るとさらに吸収が良くなるため、揚げ物のソースとして使われていることは理にかなっていることだと言えます。
有効成分の宝庫と言われるチョコレート
チョコレートの原料であるカカオ豆はおよそ4000年前の紀元前から食用として用いられていた記録が残っています。アステカ帝国ではカカオ豆をすりつぶして湯に溶き、スパイスで風味づけされた『チョコレートドリンク』が医薬品として珍重され、上流階級の者のみに飲むことが許されていました。アステカ帝国がスペイン人に征服されたことをきっかけに、ヨーロッパをはじめとする全世界に広まっていくことになります。
チョコレートというと抗酸化作用があるポリフェノールのイメージを持たれるかもしれませんが、そのほかにも成長ホルモンの分泌を助けるアルギニン、神経を落ち着かせ咳止め効果も期待できるデオプロミン、記憶力の向上を助けると言われるエピカテキンなど様々な有効成分が発見されています。時折『無性にチョコレートが食べたい』という気持ちになるのは、これだけ体にとって良いものがたくさん含まれているからかもしれません。
「医食同源」と言われるほどに「食事」と「健康」は密接な関係にあります。偏った食生活の果てに「苦い薬」のお世話にならないよう、「旨い薬」を賢くいただいて健やかな食生活を送りたいものですね。
坂野絵美
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