日本を代表する名店で長年経験を積んだ直井シェフが独立。実力派イタリア料理店【701(ナナマルイチ)】御茶ノ水
パスタ推しのモダンイタリアンや魚介がウリのカウンターイタリアン、和・仏・伊のいいとこどりをしたフュージョン系まで様々なタイプのイタリア料理店が巷を賑わせる中、どこかノスタルジーな匂いを漂わせる実力派の一軒が、この夏ひっそりとオープンした。お茶の水の線路傍に建つ【701(ナナマルイチ)】がそれだ。
ご主人の直井一寛シェフは、あの【レストランCHANTI】出身。大阪あべの辻調理師研究所を卒業後、日本のイタリア料理界の草分け的存在でもある同店に入社。その後10年に及ぶ修業の中で、様々な経験を積むことができたとか。
日本を代表する名店で腕を磨いた、実力派のベテランシェフ
「当時の料理長は、やりたいことをやらせてくれたんです。そのおかげでいろいろな事を勉強できました。例えば仔牛のもも肉。最初は既に捌かれた状態で仕入れていたんですが、どうしても自分で解体したくて。脱骨しないで仕入れてもらうよう頼んだんです。そしたら、最終的には“半まる”で届くようになりました。」とは直井シェフ。
直井シェフが独立の場所に選んだのはアカデミックな街、お茶の水
その後、神谷町【ラ・ターナ・ディ・バッコ】のオープンニングから携わること13年。うち11年間シェフを務め、そろそろ独立しようかーと考えていた矢先、【アクアパッツァ】の日高良実シェフから、ちょっと手伝ってほしいとの依頼を受ける。折しも【アクアパッツァ】が広尾から青山へと移転するタイミングの時で、「一年のつもりが、結局5年間になりました。」と笑う直井シェフ、今回の独立は、まさに“満を持して”と呼ぶに相応しい。
線路ぎわに立つ同店。窓際のテーブル席からは御茶ノ水駅を行き交う鉄道を間近で見ることができる
それにしても、【CHIANTI】と【アクアパッツァ】では料理の系統が全く異なる。直井シェフ曰く【CHIANTI】はアメリカ経由のイタリアン。イタリア料理というより、“キャンティ料理”と呼んだ方がいいかもしれませんね。」
対する【アクアパッツァ】日高シェフは現地で修業。肌で感じてきた本場の料理を踏まえたうえで、日本の食材を用い、自らのテイストを加味。その料理は、郷土の味をより洗練させた、いわば東京イタリアンと呼ばれるスタイルだ。双方を経験し、日本人が日本で作るイタリア料理について深く考えさせられたという直井シェフ。
日本の食材に目を向け、日本という地域性を生かしたイタリア料理を目指す
「今は、東京はイタリアの21番目の州、そんな思いで料理を作っています。」と語るその料理は、シチリア伝統の味“アグロドルチェ”を南瓜に添えた一皿があるかと思えば、カマスの昆布〆のように和の手法を用いる一品もあり、実に融通無碍。その時々の食材に応じて、適切な調理を施す手腕もさすがだろう。
丸皿に品よくレイアウトされているのは、手前左から時計回りに『昆布〆のカマス』、『里いもとレンコンのアンチョビマリネ』、『牛ハチノスのトマト煮込み』、『モッツァレラとイチジク』、『ハタのカルパッチョ』の5種
コースは、デザートを含め全6品のディナー9,900円とランチ5,500円のみ。基本、夜は最初の一皿、野菜の一皿が出てパスタ、魚、肉、デザート、カフェという構成だが、少しずついろいろ食べたいという向きには、写真のようなアンティパスト5種の盛り合わせもOK。この一皿を見ても、トリッパ(牛ハチノス)の煮込みのようなスタンダードなイタリアの味から、魚介料理。更には里芋やレンコンといった和の野菜をアンチョビ風味のマリネにした一品等々、料理の振れ幅の広さがわかるというもの。バラエティ豊かなラインナップには、食も進むこと請け合いだ。
今日のメインは山形牛。恵まれた環境の中で愛情たっぷりに育てられ、繊細な肉質が特徴
こうしたゲストの要望にフレキシブルに対応できるのもベテランシェフなればこそ。技術力の鍛錬はもとより、様々なシチュエーションに臨機応変に対応してきたからこそのしなやかさであり、寛容さだろう。もちろん、直井シェフの温厚な性格のなせる技でもある。
さて、前菜の盛り合わせを食べ終えたところで、パスタにいくもよし、もう少し何かつまみたいという時は、直井シェフに気軽にご相談を。ゲストの要望には、できうる限り応えてくれるはすだ。
続いて魚料理が出た後にパスタが登場。手打ちから乾麺まで自在だが、初めてならば、ぜひ“大葉としらすのスパゲッティ”を試してみたい
今や伝説の味となった“スパゲッティバジリコ”は、ご存知【CHIANTI】の名物パスタだが、直井シェフはこれをリメイク。乾燥バジルと大葉で作るキャンティスタイルを継承しつつ、釜揚げしらすをプラス。曰く「旨みが欲しいな、と思って。」とのこと。
もとより、大葉としらすは、共にご飯のお供になるほど好相性。白飯ならぬパスタもピッタリ! シンプルながら、いや、シンプルだからこそ飽きのこない、ふと、また食べたくなるような、ノスタルジックなおいしさだ。
メインは『山形牛サーロインの山ぶどうソース』
肉は、山形の高橋畜産から仕入れているそうで、「他の黒毛和牛に比べて赤身の旨みが濃い」のが、その理由。猛暑の夏と冬の厳寒という寒暖差の激しさと澄んだ空気、そして清涼な水が、そのきめ細やかで旨みの濃い山形牛を作り上げていくのだそうだ。
断面も美しいきめ細やかなサシと香り高い脂、そして赤身の濃い旨みが秀逸だ
炭火で香ばしさを増したステーキは、歯がサクリと入るしっかりとした噛み応え。山ぶどうのコクのある酸味が脂感をさっぱりとさせてくれる。
この後、デザート、食後の飲み物、小菓子が出てコースはフィニッシュ。
ワインは様々な種類を取り揃えるが、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵方式で造られる「フランチャコルタ」(写真左端)がオススメ
ちなみに、料理と合わせるなら、直井シェフ肝入りのフランチャコルタがおすすめ。フランチャコルタとは、北イタリアのロンバルディア州東部のフランチャコルタ地方で作られるスパークリングワインで、シャンパーニュと並ぶ上質な高級ワイン。【701】では、常時4〜5種類を用意。グラス1,800円から楽しめる。
撮影/三橋優美子 取材・文/森脇慶子
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